犬や猫の嘔吐にお悩みの方へ|原因の特定と適切な検査について獣医師が解説2025年09月01日
突然、愛犬や愛猫が吐いてしまうと、どう対応すべきか戸惑う飼い主様も多いのではないでしょうか。
動物の嘔吐は、軽い胃腸の不調から重大な病気のサインまで、さまざまな原因が考えられます。症状を正しく見極め、適切な対応につなげるためには、原因をきちんと探り、必要に応じた治療を行うことが大切です。
今回は、犬や猫の嘔吐について、見極めのポイントや緊急性の判断、当院での検査・治療体制についてご紹介します。

■目次
1.嘔吐と吐き戻しの違い
2.緊急性の高い嘔吐の見分け方
3.嘔吐の原因
4.当院での診断アプローチ
5.治療と管理
6.まとめ
嘔吐と吐き戻しの違い
ひとことで「吐く」といっても、医学的には「嘔吐」と「吐き戻し」の2種類に分けられます。これらを見分けることは、原因の見極めにもつながります。
・嘔吐
食後しばらくしてから、腹部の収縮を伴い、胃の内容物(胃液、未消化のフード、異物など)が吐き出される現象。
・吐き戻し(吐出)
食後すぐに起こるもので、胃まで到達していない食べ物や水が、腹部の動きなしに排出されます。食べたものがそのままの状態で出てくるのが特徴です。
見分けのポイントとしては「食後どれくらいで吐いたか」「吐いたものの状態」が重要です。
また、猫では毛玉の吐き出しもよく見られますが、これは病気ではなく生理的な現象です。定期的なブラッシングや食事内容の見直しで、ある程度の予防が可能です。
緊急性の高い嘔吐の見分け方
嘔吐は一時的な不調のこともありますが、次のようなサインが見られる場合には、緊急性が高いことが考えられます。できるだけ早めの受診をおすすめします。
・嘔吐物に血が混じっている
・嘔吐物に胆汁(黄色い液体)が混じっている
・一日に何度も繰り返し吐く
・異物を誤飲した形跡がある
・お腹を触ると嫌がる、怒る
・元気や食欲がない、ぐったりしている
・目が落ちくぼむ、皮膚をつまんでもすぐ戻らない(脱水のサイン)
特に子犬・子猫やシニア期の犬猫では注意が必要です。体力が少ないぶん、嘔吐によって脱水や容体の急変が起こりやすいため「少し様子を見よう」と思っているうちに悪化することもあります。
一方で、一度だけの嘔吐で、その後は元気や食欲に変わりがない場合は、一時的な消化不良の可能性もあり、数時間から半日ほど様子を見ても差し支えない場合もあります。
ただし、嘔吐が繰り返されたり、元気や食欲に変化が出てきた場合には、迷わずご相談ください。小さな異変でも、早期に対応することで大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
嘔吐の原因

犬や猫の嘔吐には実にさまざまな原因があり、その背景によって必要な検査や治療の内容も大きく変わってきます。見た目は同じような嘔吐でも、その意味するところは大きく異なるため、正確な判断には幅広い視点からの見極めが欠かせません。
◆食事に関連するもの
食べ過ぎ、早食い、急なフードの切り替え、不適切なフード、異物の誤飲などが挙げられます。比較的よく見られる原因ではありますが、異物によっては命に関わるケースもあるため注意が必要です。
◆感染によるもの
ウイルス・細菌・寄生虫などが消化管に炎症を起こすケースです。特に子犬・子猫では重症化しやすく、早めの治療が必要になります。
◆消化器そのものの病気
胃腸炎、胃捻転、腸閉塞、慢性腸症、消化器型リンパ腫などが含まれます。なかには緊急手術を要するものもあり、症状の見極めが重要です。
◆全身性の病気によるもの
腎疾患・肝疾患・内分泌疾患(副腎・甲状腺の異常など)が関係するケースでは、嘔吐が「体全体の異常のサイン」として現れることがあります。
◆薬剤や中毒によるもの
人間の薬や観葉植物、殺虫剤、タバコなど、身の回りにあるものが原因になることもあります。摂取してしまったものによっては、迅速な処置が必要です。
このように、嘔吐は単なる胃腸のトラブルとは限らず、多岐にわたる可能性を念頭に置いて診断・治療を進める必要があります。
当院での診断アプローチ
嘔吐は、犬や猫の体調不良のなかでも特に頻度の高い症状のひとつです。しかしその一方で、原因が非常に多岐にわたり、見た目だけでは判断がつきにくい症状でもあります。
当院は日本動物病院協会(JAHA)の内科認定医として、症状の背景にある異常を見逃さないための段階的な診断アプローチや治療を大切にしています。
<必要な検査を必要な順番で>
嘔吐には、消化管のトラブルだけでなく、感染症や全身疾患、中毒や腫瘍など、さまざまな原因が考えられます。そのため当院では、以下のような検査を症状や身体の状態に応じて段階的に選択し、ひとつずつ丁寧に原因を探っていきます。
▼問診
いつ、何を、どのくらいの頻度で、どのように吐いたか。直前の食事や行動、吐いた内容まで詳しく伺うことで、診断の精度が大きく変わります。
▼身体検査
脱水の有無、腹部の痛み、体温や粘膜の色など、全身の状態をしっかり確認します。
▼血液検査
内臓機能や炎症の有無、全身状態の把握に欠かせない基礎的な検査です。
▼画像検査(レントゲン・エコーなど)
異物の誤飲、腫瘍、腸閉塞などの有無を確認します。
▼内視鏡検査
原因がはっきりしない場合や慢性的な症状が続く場合に行います。粘膜の状態や腫瘍の有無を直接観察できる、精密検査のひとつです。
これらの検査をすべて行うわけではなく「その子の状態に本当に必要な検査だけ」を順を追ってご提案しています。
<不安に寄り添いながら納得できる検査を>
「嘔吐だけなのに、こんなに検査するの?」と感じられる飼い主様もいらっしゃるかもしれません。ですが、原因を見誤ってしまうと、適切な治療にたどりつけないばかりか、命に関わる事態を招くこともあるのが嘔吐という症状の怖さです。
だからこそ、当院では「なぜこの検査が必要なのか」を、医学的な根拠とともに、できるだけわかりやすい言葉で丁寧にご説明しています。また、検査にかかる費用や時間についても、事前にしっかりご相談させていただく体制を整えています。
治療と管理

検査によって原因が特定できたら、その結果をもとに個別に治療プランを設計します。
◆食事管理
半日〜1日の絶食で胃腸を休ませたのち、消化にやさしいフードから再開します。
◆薬物治療
吐き気止めや抗生物質などを、症状に応じて投与します。吐き気が強い場合には注射や点滴など、内服に頼らない方法を選ぶこともあります。
◆長期的なケアが必要な場合
慢性的な嘔吐や、全身疾患が関与しているケースでは、定期的な通院・検査による継続的なサポートが必要となります。
◆再発防止のアドバイス
食事内容や生活環境、ストレス管理など、日常でできる予防策についても丁寧にアドバイスいたします。
当院では、一人の獣医師が継続して診察を行うことで、ちょっとした体調の変化にもすぐ気づき、早めの対応ができる体制を整えています。
まとめ
犬や猫の嘔吐はよくある症状のひとつですが、その裏になんらかの病気が隠れていることもあります。「少し様子を見ようかな」と思っていた症状が、実は見逃してはいけないサインだった——ということも少なくありません。
当院では、科学的根拠に基づいた丁寧な診療体制のもと、信頼できる診断と治療をご提供しています。また、検査の必要性や治療方針については、飼い主様に分かりやすく丁寧にご説明し、納得のうえで進めることを大切にしています。
些細な変化でも構いません。気になることがありましたら、お早めにご相談ください。
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