フェレットの低血糖の原因はインスリノーマ?|症状と治療法を詳しく解説2025年01月01日
フェレットと暮らしている飼い主様の中には、「インスリノーマ」という病気を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
どのような病気なのか、そしてもし発症してしまったらどう対処すれば良いのか、不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
フェレットは内分泌疾患(ホルモンのバランスが乱れる病気)にかかりやすく、特に年齢を重ねるにつれて、そのリスクは高まります。
インスリノーマは内分泌疾患のひとつで、フェレットに多く見られる病気で、副腎疾患やリンパ腫と並び、フェレットの三大疾患と呼ばれることもあります。
今回は、フェレットのインスリノーマの原因や症状、診断方法、治療法について解説します。
■目次
1.インスリノーマとは?
2.症状
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ
インスリノーマとは?
インスリノーマは、膵臓のβ細胞(ベータ細胞)が腫瘍化することで起こる病気です。
β細胞は血糖値をコントロールするホルモン「インスリン」を作る働きを持っていますが、腫瘍化するとインスリンを過剰に産生し、血糖値が極端に低くなってしまいます。
この病気は主に4歳以上のフェレットで多く見られる病気です。高齢化が進むほどリスクが高まり、副腎腫瘍やリンパ腫といった他の疾患と併発しているケースも少なくありません。
症状
インスリノーマの症状は、初期段階ではとてもわかりにくく、老化のように見えることが多いです。
たとえば、以前ほど活発でなくなり、なんとなく元気がないと感じる程度です。多くの飼い主様は、「年齢のせいかな」と思いがちですが、これが病気の始まりのサインである場合があります。
しかし、症状が進行すると、次のような異常が見られることがあります。
・体重が減る(痩せてくる)
・嘔吐
・よだれが増える
・長時間寝ていることが増える
・後肢がふらつく(歩き方がおかしい)
・痙攣を起こす
原因
フェレットで一般的に見られるインスリノーマですが、なぜこれほど多く発生するのか、現時点では明確な原因は解明されていません。
一部では、遺伝的な要因や食事内容が関係している可能性が指摘されていますが、確かな結論には至っていないのが現状です。
ただし、インスリノーマの発症リスクを完全に防ぐことは難しいものの、日頃から健康的な食事と適切な生活環境を整えることで、リスクを減らせる可能性があります。
診断方法
インスリノーマを確定診断するためには、膵臓にできた腫瘍を摘出し、細胞を調べる「病理学検査」が必要です。ただし、この検査は手術を伴うため、最初の診断段階で行われることはあまりありません。
まず、動物病院ではフェレットの症状や行動の変化について詳しく聞き取ります。
その後、血液検査を行い、血糖値を測定します。血糖値が低く(通常65~70mg/dL以下)なっている場合、この段階でインスリノーマの疑いが強いと判断されることが多いです。
低血糖が確認されると、インスリノーマと仮診断して治療を開始します。仮診断の段階でも治療を始めることで、フェレットの体調を安定させ、症状の進行を抑えることが期待できます。
治療方法
インスリノーマの治療には、内科的治療、外科的治療、食事療法の3つの方法があります。これらを組み合わせることも多く、フェレットの年齢や体の状態に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。
<内科的治療>
内科的治療は、薬を使用して低血糖の症状を緩和する方法です。血糖値を上昇させる薬と、インスリンの分泌を抑える薬を組み合わせることで、症状をコントロールします。
この治療法は、高齢のフェレットや体力が低下している場合にも行いやすいため、手術が難しいケースや飼い主様の希望に応じて選択されることが多い方法です。
ただし、薬の効果は時間の経過とともに弱まることがあるため、定期的な経過観察が必要です。
<外科的治療>
外科的治療では、膵臓にできた腫瘍を手術で摘出します。ただし、腫瘍をすべて取り切ることは難しく、治療の目的は完治ではなく症状を緩和することです。
手術のメリットとして、病理診断を通じてインスリノーマを確定診断できる点が挙げられます。また、内科的治療よりも生存期間が長くなるというデータも報告されています。
一方で、手術には麻酔が必要であり、体力のあるフェレットに限られる治療法です。そのため、高齢のフェレットや体調が悪化している場合には、外科的治療が選ばれないこともあります。
<食事療法>
食事療法は、外科的治療や内科的治療と組み合わせて行われることが多いですが、ごく初期の段階では単独で実施する場合もあります。
食事では、良質な動物性たんぱく質と脂質を中心に与え、糖分を控えることが重要です。
さらに、空腹の時間を短くするために、4~6時間ごとに少量ずつこまめに与える方法も効果的です。
予防法やご家庭での注意点
インスリノーマは原因がはっきりしていないため、確実な予防方法は存在しません。しかし、定期的に動物病院で健康診断を受けることで、血糖値の低下を早期に発見できる可能性があります。
この病気は一度発症すると生涯つきあう必要がありますが、血糖値を上手にコントロールすることで、フェレットの生活の質を保ちながら暮らすことも十分に可能です。特に、症状が軽いうちに血糖値の管理を始めることで、治療の効果をより高めることが期待できます。
一方で、インスリノーマのフェレットに対して、血糖値を上げる目的で甘いものやフェレットバイトを頻繁に与えるのは控えましょう。
これらを過剰に与えると、血糖値が急上昇し、それに伴いインスリンが過剰分泌されることで、血糖値が反動で急降下し、低血糖状態がさらに悪化する可能性があります。
ただし、痙攣や発作といった緊急時には例外的に少量の甘いものを与えることがあります。このような応急処置を行った後は、速やかに動物病院を受診してください。
日頃からフェレットの様子をよく観察し、定期的な診察を受けることで、早期発見と早期治療につなげることが大切です。適切なケアを心がけ、大切なフェレットの健康を守りましょう。
まとめ
インスリノーマは、フェレットと暮らす飼い主様にとって、ぜひ知っておいていただきたい病気です。
どのフェレットにも年齢とともにリスクが高まる病気で、特に4歳を迎える頃には注意が必要です。「まだ若いから大丈夫」と思わず、早い段階で情報を集め、備えておくことで安心して暮らすことができます。
また、動物病院での定期的な健康診断も欠かせません。若く健康なときの血液データは、病気の早期発見に役立つことが多いため、定期的な健診を受けることをおすすめします。フェレットの健康を守るために、日頃からの観察と予防を心がけましょう。
千葉県佐倉市の動物病院なら「リアンアニマルクリニック」
診療案内はこちらから
■電車でお越し場合
ユーカリが丘駅・地区センター駅から徒歩6分
■車のお越し場合
駐車場5台完備
アクセスはこちらか