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ウサギの歯のトラブルを防ぐには?|不正咬合の原因と対策2025年01月24日

ウサギと一緒に暮らす飼い主様にとって、「不正咬合」はとても身近でありながら、大きな不安を伴う病気のひとつではないでしょうか。歯が正常に噛み合わないこの状態は、ウサギの健康に深刻な影響を与えることがあります。

不正咬合の原因には、遺伝のように避けられないものもありますが、日々の生活習慣、特に不適切な食事が関わっている場合も少なくありません。

今回は、ウサギの歯の特徴とともに、不正咬合について解説します。

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■目次
1.ウサギの歯の特徴
2.不正咬合とは?
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ

 

ウサギの歯の特徴


ウサギの歯は一生伸び続けるという特徴があります。特に切歯(前歯)は、1ヵ月で約1cmも伸びると言われているため、日々の食事が歯の健康を保つ重要な役割を果たします。

人が食べ物を食べる時は上下に顎を動かして噛みますが、ウサギの場合は少し異なります。ウサギは切歯(前歯)で食べ物を嚙み切った後、顎を左右に動かしながら臼歯(奥歯)ですり潰して食べています。
この特有の咀嚼運動のおかげで、普段は食事中に歯が自然と削れ、問題になることはほとんどありません

しかし、歯が適切にすり減らないと、不正咬合などのトラブルが発生することがあります。

ウサギの頭骨図と口内の写真。切歯(前歯)と臼歯(奥歯)の位置が赤い円で強調され、頭骨図とウサギの実際の口内写真でそれぞれ示されています。

 

不正咬合とは?


不正咬合とは、歯の噛み合わせが悪い状態を指します。ウサギの不正咬合には大きく分けて以下の2タイプがあり、両方が同時に起こることも少なくありません。

・切歯(前歯)の不正咬合
・臼歯(奥歯)の不正咬合

ウサギの場合、噛み合わせの悪い部分があると、その箇所で歯をうまくすり減らせなくなります。その結果、もともと問題があった部分だけでなく、他の歯にも影響が広がり、不正咬合が悪化してしまうことがよくあります。

<切歯の不正咬合>
切歯に不正咬合がある場合は、切歯の形状や噛み合わせが目に見えてわかることが多いです。
例えば、下の歯が伸びすぎて上の歯の外側に飛び出し、顎がしゃくれているように見えることがあります。逆に、上の歯が伸びすぎて下の歯の外側に飛び出してしまうケースもあります。

■切歯の不正咬合で見られる主な症状
・食べ物をうまく噛めず、食事に時間がかかる
・食欲が低下する
・涙や目やにが増える
・よだれが出る

<臼歯の不正咬合>
臼歯の不正咬合は、切歯とは異なり見た目だけでは気づきにくいことがあります。しかし、以下のような行動や体調の変化が見られた場合は、不正咬合を疑い、注意深く観察する必要があります。

■臼歯の不正咬合で見られる主な症状
・食欲の低下や全く食べない
・牧草や固いペレットなどを食べず、柔らかい葉物野菜ばかりを好む
・よだれが出る
・体重が減り、痩せてくる
・歯ぎしりをする
・口の周りを頻繁に気にする仕草をする
・下痢をする
・涙や目やにが増える
・目が飛び出して見える
・顎を動かせなくなる
・顔や顎の部分に膿が溜まる

 

原因


ウサギの不正咬合は、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症することがあります。

・遺伝的な要因
特に小型のウサギでは、不正咬合が遺伝的に起こりやすいとされています。これは、先天的な顎や歯の構造に問題があるためです。

・食事内容
ウサギの歯は一生伸び続けるため、牧草を十分に与えて歯をしっかり削ることが重要です。牧草の摂取量が不足すると、歯が正常に削れず、不正咬合を引き起こす可能性があります。
また、栄養が偏った食事柔らかいものばかりを与えると、歯の健康を損なう原因になることもあります。

・ケージやかじり木が原因になることも
あまりに固いかじり木を使い続けると、歯や顎に過剰な負担がかかり、不正咬合の原因となる場合があります。
また、ケージ内での転倒や衝突、落下などが原因で歯や顎を傷つけると、噛み合わせが悪くなり、不正咬合を引き起こすことがあります。

 

診断方法


不正咬合の診断には、無麻酔で行える検査と、麻酔をかけて行う検査の2種類があります。通常は、まず無麻酔での検査を行い、その結果や必要性に応じて麻酔を使った検査が必要になる場合があります。

<無麻酔でできる検査>
無麻酔で行う検査では、専用の器具を使ってウサギの口の中を目視で確認します。切歯(前歯)の異常は比較的わかりやすいですが、臼歯(奥歯)の異常を無麻酔で詳細に確認することは難しい場合があります。

<麻酔をかけて行う検査>
麻酔下での検査では、臼歯までしっかりと目視で確認できます。また、以下のような詳細な診断も可能です。

レントゲン検査:歯や顎の状態をより詳しく確認できます。
歯周ポケットの確認:歯周病や歯根部の状態を調べます。
口内の傷の確認:口の内側や舌に傷がないかをチェックします。

麻酔を使用することでより正確な診断が可能になるため、特に臼歯の不正咬合が疑われる場合には、この方法が選択されることがあります。

 

治療方法


治療は、問題となる歯をカットしたり削ったりする処置が主に行われます。歯の処置を安全に行うためには麻酔が必要になるケースもあります

歯の治療に加え、ウサギの体調に応じて以下のケアが行われることがあります。

炎症を抑える薬や抗生剤の投与:歯や口周りの炎症がある場合に使用されます。
脱水の補正脱水状態が見られる場合、点滴などで体内の水分バランスを整えます。
食事を与える:食欲が低下している場合や自力で食べられない場合は、シリンジを使って流動食を与え、栄養補給を行います。

また治療の一環として、食事内容の見直しも重要です。
特に、野菜やペレット中心の食生活を送っているウサギには、牧草を主食とするバランスの取れた食事に少しずつ切り替えていくことが大事です。
牧草をしっかり食べることで歯が自然にすり減り、不正咬合の再発防止につながります。

 

予防法やご家庭での注意点


不正咬合を予防するためには、牧草をたくさん食べてもらい、歯が自然にすり減る環境を整えることが最も大切です。

ウサギは牧草よりもペレットや野菜を好むことが多いため、これらの与え方に注意が必要です。牧草を十分に食べてもらうために、次の点を心がけましょう。

ペレット:1日あたりのペレット量は、5ヶ月齢以下の場合は体重の5%、6~11ヶ月であれば2.5~3%、1歳以上であれば体重の1.25~1.5%程度の量に抑えるようにしましょう。

野菜やおやつ:基本的にあげなくても良いものです。あげるとしたら1日体重の0.5%程度(体重1kg→5gまで、体重2kg→10gまで)に制限するようにしましょう。

牧草新鮮な牧草を常に用意し、ウサギが好きなタイミングで食べられるようにしてあげましょう。

ウサギの栄養管理に関する図。牧草(新鮮な牧草を常に用意)、ペレット(月齢に合わせた適切な量)、野菜やおやつ(体重の0.5%)の3つの要素が円形で示され、中央に2匹のウサギの写真が配置されています。

また、ケージの柵をかじらせないようにレイアウトを工夫し、かじり木を与える場合は固すぎないものを選びましょう。

 

まとめ


ウサギにとって不正咬合は、命に関わる深刻なトラブルです。
特に、よだれがたくさん出るなどの症状が見られる場合は、すでに病気が進行していることが少なくありません。そのため、できるだけ早い段階で異常を見つけて治療を始めることが大切です。

また、定期的に動物病院で歯の健診を受けることで、早期発見につながります。日々の観察と健康管理を心がけ、大切なウサギの健康を守りましょう。

 

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