リンパ腫について|老犬に多い腫瘍の病気2023年09月26日
リンパ腫はリンパ球(白血球の一種)が腫瘍化して異常に増殖する血液のがんです。犬で最もよく見られる悪性腫瘍の1つで、特に老犬に多く見られます。症状が現れた頃にはすでに病気が進行していることも多いため、できるだけ早く気がつくことが大切です。
今回は老犬に多い病気であるリンパ腫についてご紹介していきます。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防方法
6.まとめ
原因
原因はまだ明らかになっていませんが、以下の犬種に多く発生することから、遺伝的要因が原因の一つと考えられています。
好発犬種
・ゴールデン・レトリーバー
・ボクサー
・セント・バーナード
・コッカー・スパニエル
・ブルドッグ
・ロットワイラー
・エアデール・テリア
・バセット・ハウンド など
症状
初期の段階ではほとんど目立った症状はありません。また、症状はリンパ腫のタイプによって異なります。
多中心型
体表リンパ節の腫大、元気や食欲がない、体重の減少、発熱など
消化器型
嘔吐、下痢、血便、食欲がない、脱水など
皮膚型
皮膚の結節形成、潰瘍など
縦隔型(胸腺型)
発咳、呼吸困難など
診断方法
まずは触診で腫れているリンパ節を確認します。しかし、この段階では腫れの原因が腫瘍なのか、あるいは感染や炎症なのかを判断できません。そのため、腫れているリンパ節に針を刺して吸引した細胞を顕微鏡で観察する細胞診を行います。また、それでも診断できない場合には病理検査を行います。
さらに、リンパ腫の進行度合いや全身状態を把握するために、血液検査やX線検査、超音波検査なども行います。
治療方法
リンパ腫の第一選択は化学療法(抗がん剤療法)です。
治療をしなかった場合は4~6週間で命を落としてしまいますが、化学療法による完全寛解率(かんぜんかんかいりつ:特定の治療後に病気が全く見られなくなるケースが全体の何パーセントあるかを示す指標)は60~90%で、約半数は予後が6~12か月といわれています。さらに、20~25%は2年以上生きることができるといわれています。
また、化学療法は一般的に複数の抗がん剤を組み合わせて行います。使用する薬剤や通院の頻度・期間などはリンパ腫の発生場所や進行度合いなどによっても異なりますので、費用面を含め、飼い主様と相談しながら治療計画を立てていきます。
予防方法
リンパ腫は原因が明らかではないことから、明確な予防法はありません。
病気が進行するほど予後が悪くなるため、いち早く病気に気づき、治療を始めることが大切です。そのため、ご自宅ではスキンシップの一貫で愛犬の体に触り、リンパ節が腫れていないか日々チェックする習慣をつけておきましょう。さらに、毎年動物病院で健康診断を受けるようにしておくと、より安心でしょう。
まとめ
犬のリンパ腫は残念ながら予防は難しいものの、早期に化学療法を開始できれば予後は大幅に伸びます。そのため、定期的に健康診断を受け、さらにご自宅でも愛犬の体に触る習慣をつけ、万が一しこりのようなものができている場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
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