慢性腎不全について|老犬に多く発生する腎臓の病気2023年10月10日
慢性腎不全は、老犬に比較的多い病気です。一度発症すると完治はできず、進行を遅らせながら生涯つきあっていかなければなりません。
今回はそんな犬の慢性腎不全について解説していきます。
原因
慢性腎不全は、なんらかの原因によって腎臓に障害がおこり、それに伴って比較的穏やかに症状が進んでいく病気です。
腎臓にダメージが起こる原因のひとつに加齢があげられます。他には、細菌感染、薬や毒物による中毒、免疫疾患、心臓の病気や事故などによる血流量の低下など様々なことが引き金となって慢性腎不全が引き起こされます。
症状
症状は、初期ではほとんど出ることがありません。
病気が進行すると、尿量が増えたり水をたくさん飲んだりするようになります。
さらに進行すると、食欲が無くなる、吐く、やせる、脱水する、便秘するなど色々な症状が見られるようになります。
末期になると、本来腎臓から排泄される尿素や窒素などの代謝物が蓄積されて「尿毒症」となり神経症状などが出て命に関わる状態になります。
治療方法
診断は、血液検査や尿検査、レントゲン検査やエコー検査を組み合わせて行います。
慢性腎不全は、一度発症すると腎臓の機能自体を回復させることは難しく、治療は進行を遅らせることと対症療法が中心で行われます。
治療には療法食の選択をすることがあり、腎不全用の療法食は多くのケースで効果的です。
症状が進むと、点滴などで体内の循環を良くすると同時に、尿が出ない場合には利尿剤などを併用してしっかり排尿させる治療も行うこともあります。また、体内に老廃物が溜まってきた場合は、それらの物質を吸着させる薬などを利用して体調の維持に努めます。
他にも症状や状態によっては、吐き気を抑える薬や食欲を増進させる薬などを併用することもあります。
慢性腎不全は、初期の段階で治療を開始することで比較的長い期間、犬は普通の生活を送ることができます。反対に、尿毒症の症状が現れる末期の状態になると、救命が難しい状況になるため注意が必要です。
予防方法
腎臓を守るためには、良質なフードと水が大切です。また、感染症などが引き金となることもあるため、必要なワクチンはしっかりと接種するようにしましょう。
慢性腎不全は、できるだけ初期の段階で治療を開始することが重要です。普段から愛犬の尿量や飲水量をチェックしておいて、普段と異なる日が続いた場合は、動物病院を受診するようにしましょう。また、定期的に血液検査や尿検査などの健康診断を受けることも大切です。
まとめ
慢性腎不全は、一度発症すると腎臓の機能を元に戻すことができない病気です。ただし、早期発見によって症状の進行を遅らせ、長期のコントロールを行うことは可能です。飼い主様自身のこまやかな観察に加え、定期的な健康診断を欠かさずに行うことで愛犬の健康を守りましょう。
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