老犬に多い脳の病気、認知症について|夜鳴きや徘徊が始まったら2023年11月06日
高齢の愛犬の様子が最近、おかしい感じることはありませんか?近年では、ペットの長寿化に伴い、高齢犬特有の問題行動に悩まされる飼い主様も増えています。
発症すると、トイレの失敗や夜鳴き、徘徊など、飼い主様の生活に支障をきたすような症状を起こすこともあります。高齢期の犬と暮らす上で認知症に関する正しい知識をもっておくことは非常に重要です。
この記事では、認知症の原因や症状、診断方法、予防法などについて詳しく解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法や飼い主が気をつけるべき点
原因
人の認知症は原因によって様々なパターンが分かっていて、その病理像についてもそれぞれ細かく定義されていますが、犬ではまだ詳しく解明されておらず、脳萎縮や脳の微小出血との関連、人のアルツハイマー病の原因と考えられる蛋白との関連などが考えられています。
従来は柴犬などの日本犬が認知症になりやすいといわれていましたが、現在は小型犬から大型犬まで、幅広い犬種で認知症が見られることがわかっています。
症状
認知症を発症すると、以下のような5つの行動変化が現れます。
①見当識障害
周囲の環境や自分の居場所を正しく把握できなくなったり、家の中で迷子になったり、直角の角も曲がれない、ぼんやりしている時間が増える、親しい人を認識できなくなるなどが挙げられます。
②社会的交流の変化
人や他の動物に対して反応を示さなくなったり、逆に過剰に反応して攻撃的になったりします。
飼い主様と遊ぶことへの興味が減ったり、学習したコマンドができなくなったりします。
③睡眠・覚醒サイクルの変化
生活が昼夜逆転し、昼間の睡眠時間が増え、夜鳴きを含め夜間に起きている時間が長くなります。
④不適切な排泄
トイレの場所がわからなくなり、粗相が増えます。
⑤活動性の変化
無目的に歩き回ったり、同じ場所でぐるぐると旋回したりします。
診断方法
高齢の動物で、上記のような症状が見られた場合に認知症を疑います。診断で大切なのは、飼い主様から愛犬の行動の変化を聞き取ることです。
その上で、病歴や症状の観察、神経学的検査、血液検査、画像検査などを行い、慎重に診断を進めます。
治療方法
残念ながら、認知症に対する効果的な治療法は確立されていません。しかし、行動療法や薬物療法を併用することで、認知症の進行を遅らせることが期待でき、愛犬と飼い主様の生活の質を維持することができます。
行動療法では、生活環境を整え、愛犬が快適に過ごせる環境を整えます。たとえばトイレや食事の場所までの段差をなくすなど、愛犬のストレスを軽減することで症状の改善を図ります。
薬物療法では、認知症の症状を改善し、進行を遅らせるための薬やサプリメントが使用されます。
予防方法や飼い主様が気を付けるべき点
認知症の予防法としては、適度な運動を行い、脳に刺激を与えることが大切です。また散歩に連れて行って太陽の光を浴びさせることで、体内時計を整えることも効果的です。
認知症は根本的に治療することはできないため、症状が見られた場合には獣医師に相談し、早めに対策をとるようにしましょう。
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