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猫の甲状腺機能亢進症について|老猫に多い内分泌の病気2023年12月01日

甲状腺機能亢進症とは老猫に比較的多く発生する病気で、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうことで身体に様々な症状が現れます。人の甲状腺機能亢進症は「バセドウ病」という名前でも知られています。

今回は、老猫に多い内分泌の病気である甲状腺機能亢進症について詳しく解説します。

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ


原因


甲状腺機能亢進症は老猫に代表的な内分泌系疾患です。
原因としては、甲状腺の結節性過形成(腫瘍ではなく細胞が結節状に増殖したもの)、腺腫(良性腫瘍でポリープの一種)、腺癌(甲状腺の悪性腫瘍)、下垂体腫瘍(下垂体から産生される甲状腺刺激ホルモンが過剰に分泌されて、結果的に甲状腺の機能が亢進する)などが挙げられます。
遺伝や食事、環境などが関わっていると考えられてます。

 

症状


甲状腺ホルモンは新陳代謝や自律神経の働きを調節する役割があるため、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると全身に下記のような様々な症状が現れます。

食欲は増えるが体重が減少する(食欲が低下することもある)
活動性の亢進(過剰に興奮することが増える)
多飲多尿(よく水をのみ、たくさんの排尿がみられる)
下痢、嘔吐などの消化器症状
毛並みが悪くなる
心拍数の増加、高血圧

猫の喉あたりを注意深く触ると腫れた甲状腺を触知できることもあります

甲状腺機能亢進症は体力の消耗が激しいため、最終的には全身の衰弱を招きます。
老化が原因と思われてしまうことが多く、見過ごされてしまうこともあります。

 

診断方法


甲状腺機能亢進症は病気を特定できるような特徴的な症状がほとんど現れません
問診にて先述のような症状が確認されたら、基本的な身体検査の後に甲状腺機能亢進症を疑って血液検査やエコー検査を実施します。

血液検査では、血中の甲状腺ホルモン (サイロキシン:T4)濃度を確認します。ALTやALPの軽度上昇が見られることもあります。
軽度や初期の甲状腺機能亢進症では一度の血液検査で血中T4濃度の上昇を確認できないことがあるため、甲状腺機能亢進症を強く疑う場合は後日に血中T4濃度を再測定するか、血中遊離サイロキシン濃度 (fT4)の測定を追加します。

そして、エコー検査では甲状腺の大きさや形状を確認します。

 

治療方法


甲状腺機能亢進症の治療法は、抗甲状腺薬を用いた内科療法外科療法 (腫大した甲状腺を摘出する)、食事療法があります。
老猫は同時に慢性腎臓病を併発していることも多いため、治療の際は腎機能への影響も考慮する必要があります。

内科療法では甲状腺ホルモンを抑制する薬が最も多く使われますが、生涯にわたり薬を飲み続ける必要があります

外科療法は有効な治療法ですが、過剰に産生されていた甲状腺ホルモンが突然産生されなくなるため一時的に甲状腺ホルモンの内服が必要な場合もあります。

 

予防法やご家庭での注意点


残念ながら、甲状腺機能亢進症の発症を防ぐ方法は現時点では報告されていません
ご家庭では、7〜8歳を超えてからは半年に1回は血液検査を含む全身的な健康診断を受診し、病気の早期発見・早期治療を心がけましょう。

 

まとめ


猫の甲状腺機能亢進症は特徴的な症状が出づらいことから飼い主様が異変に気づきにくい病気です。
一方で、慢性腎臓病を併発していない猫に適切な治療を行えば、生存期間の中央値は約5年と良好な予後が期待できる病気でもあります。

普段から愛猫の様子を注意深く観察し、食欲の変化や体調の異変に気づいたらすぐに獣医師に相談してください。

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