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犬の歯周病について|老犬で多い歯の病気2023年12月18日

歯周病とは、口腔内の細菌が原因で生じる歯周組織の炎症性疾患です。
歯周病は犬の全疾患の中で最も多い疾患であると考えられており、3歳以上の犬の約80%が歯周病を患っていることが報告されています。
加齢とともに口腔内の状態は悪化することが多く、老犬は特に歯周病に注意する必要があります。

そして歯周病は単なる歯の病気ではなく、進行すると歯槽骨という歯を支える顎の骨が溶けてしまい顎の骨折や、骨髄炎(骨の内部まで炎症が進行する)など様々な疾患に進行することもあり注意が必要です。

今回は、犬に多い歯の病気である歯周病について詳しく解説します。

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ


原因


歯周病の一番の原因は、歯に付着したフードの食べカスなどを栄養源として増殖した歯周病原性細菌です。口腔内にはたくさんの種類の細菌が生息しており、このうち歯周病の発症に関与する細菌を歯周病原性細菌と呼びます。

その歯周病原性細菌は互いに凝集してバイオフィルム(細菌が産生するヌメヌメとした生物膜)を形成します。バイオフィルムは好中球やマクロファージ、抗体などの生体防御機構から細菌を守る役割があり、細菌を完全に排除することが困難になります。

また、食後すぐにデンタルケアをすれば食べカスなどは取れますが、ケアを怠ってしまうと歯垢が溜まって歯石になります。歯石になるとご家庭の歯磨きなどでは取れなくなってしまいます。

上記の細菌因子以外にも、宿主因子(免疫など犬の感染防御機構)や環境因子(栄養状態やストレスなど)の三つの因子が複雑に影響し合って、歯周病が発症します。

症状


歯周病には大きく分けて歯肉炎歯周炎の二種類の段階に分けられます。
歯肉炎とは、歯肉に炎症が生じた状態で歯周病の初期段階で、以下の症状が挙げられます。

歯肉の赤みや腫れ
ドライフードなど硬いものを噛んだ時に歯肉から出血する
歯周ポケットが徐々に深くなる
いずれも症状は軽度のことが多く、飼い主様は気づかないことが多いです。


そして
歯肉炎が進行し、歯肉以外の他の歯周組織にも炎症が拡がったものを歯周炎と呼びます。歯周炎は歯肉だけではなく歯槽骨や周囲の組織にまで炎症が及んでおり、歯槽骨が溶けることで歯のぐらつきや歯が抜けることもよくあります。歯周炎の症状は、以下が挙げられます。

歯肉の強い腫れ
歯肉から黄色い膿が出ている
強い口臭がする
痛みからフードを食べたがらない
歯がぐらつく、抜け落ちる

歯周炎になると明らかな臨床症状が見られるため、ほとんどの飼い主様が口腔内の異変に気づきます

診断方法


歯周病の診断の基本は口腔検査です。歯周病は文字通り、「歯の病気ではなく、歯の周りの病気」です。そのため、歯の表面の汚れだけではなく、歯肉や歯根膜の状態、歯周ポケットの深さなどを評価する必要があります。

無麻酔下の肉眼所見で判断できるのは歯の表面と歯肉の状態までなので、歯周病をより正確に診断するためには、全身麻酔下での口腔検査が必要となります。
歯周病の程度を評価する際には、主に以下の項目を確認します。

・歯垢と歯石の付着状態
・歯肉の炎症の程度
・歯のぐらつき程度
・歯周組織の破壊程度
・歯周ポケットの深さ

場合によっては、口腔内X線検査を実施することもあります

治療方法


歯周病治療の中で最も一般的な治療法はスケーリング(歯の表面の歯垢・歯石を除去する処置)、ルートプレーニング(歯周ポケット内の歯垢・歯石を除去し、歯根面を滑らかにする処置)、キュレッタージ(炎症のある歯周ポケットの組織を掻把・除去し、歯肉をきれいな状態にすることで歯周ポケットの深さを減少させるための処置)抜歯です。

まず、全身麻酔下で超音波スケーラーという特殊な機械を用いて歯垢や歯石を除去します。
次に、キュレットという道具で、ルートプレーニングとキュレッタージをします。この時、歯周病が重度であり歯がグラグラしている場合は、同時に抜歯も行います。
そして、スケーリングの後は、歯の表面を滑らかにして歯垢を付着させにくくするためにポリッシング(歯の表面の研磨)を行います。

予防法やご家庭での注意点


歯周病を予防するにはご家庭での歯磨きが何よりも重要です。子犬の頃から歯磨きをする習慣をつけておけば、その後の日々のデンタルケアがやりやすくなります。

しかし、歯磨きをどうしても嫌がる場合もあると思います。その時には、まず口や歯を触られることに慣れさせることから始めてください。口や歯を触らせてくれたら、大好きなおやつを少しあげたり思いっきり褒めたりして、歯磨きに対してよいイメージを持たせることが重要です。

また、食事に関しては、しっかりと噛む食事では歯垢、歯石が付着しにくく、ウェットフードよりもドライフードの方が歯垢、歯石が付着しにくいと考えられています。そのほかにも、デンタルガムを噛むことで歯に付着した歯垢を落とすことができるため、こちらも試してみるのも良いでしょう。

自宅でできる口腔ケアについてはこちらで解説しています

まとめ


歯周病は犬で最も一般的な疾患ですが、ご家庭でもデンタルケアによって予防することが可能です。
毎日の歯磨きと定期的な健康診断を徹底し、常に口腔環境を清潔に保つことは何よりも大切です。

また、当院では日本小動物歯科研究会が定めるレベル1.2.3.4の認定を取得をしております。歯や口腔内の疾患に対して少しでも皆様のご不安に対処できるように努めて参ります。もし犬や猫の歯のことでお困りのことがございましたら、いつでも当院までご相談下さい。

 

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