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犬と猫の椎間板ヘルニアについて|症状や手術の必要性などを解説2024年01月11日

椎間板ヘルニアとは、脊椎同士の間にありクッションのような役目を持つ椎間板に変性が生じることで、脊椎の中を走る脊髄を圧迫してしまう病気です。
脊髄は神経の束のようなもので、脊髄が圧迫されると強い痛みや四肢の麻痺などの様々な神経症状を引き起こします。

今回は犬と猫の椎間板ヘルニアについて、原因や症状、治療方法などを解説します。

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

原因


椎間板ヘルニアは外傷や激しい運動、遺伝、加齢などが原因で椎間板が変性して脊髄を圧迫することで発症します。

また椎間板ヘルニアには2種類あり、髄核が線維輪を突き破って脊髄を圧迫するハンセン1型と、慢性的に線維輪が盛り上がって脊髄を圧迫するハンセン2型があります。
そして、臨床上よく問題となるのはハンセン1型の方です。

特にダックスフンド、フレンチブルドッグ、コーギー、ビーグルなどの犬種は軟骨異栄養性犬種と呼ばれ、遺伝的に椎間板ヘルニアを起こす危険性が高いため、注意が必要です。

症状


椎間板ヘルニアの初期症状としては以下の症状が挙げられます。
痛みが軽度であれば、飼い主様も気付かないことが多いため注意して観察してみてください。

・背中に触るとキャンと鳴く
・ソファなどに飛び乗らなくなった
・階段の昇り降りができなくなった
・足を引きずって歩く
・足をしきりに気にしている様子がみられる
・腰が立たない

また神経の障害が進行し、痛みが重度になると、以下の症状がみられるようになります。

・足が完全に麻痺し、四本足で立てなくなる
・自力で立ち上がれなくなる
・自力で排尿・排便がコントロールできなくなる

上記のような症状がみられる場合は、椎間板ヘルニアの可能性があります。
椎間板ヘルニアは早期に適切な治療を受けたかどうかで、その後の回復具合が大きく異なるため早めに動物病院を受診しましょう

診断方法


体に触ると痛がる、四肢が麻痺している、足を引きずるなどの椎間板ヘルニアを疑う症状がみられたら、まずは問診によっていつから痛がるか、家ではどのような様子かなどの情報を整理します。
次に触診で痛がる部位の確認、歩行時の様子、麻痺の程度などを調べます
そして、神経学的検査では反射の有無などから脳に病変があるのか、それとも椎間板ヘルニアなどの脊髄に病変があるのか推測し、骨折などの骨の異常を確認するためにレントゲン検査も同時に行います。

また、脊髄に病変があると疑われる場合は、椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、脊髄梗塞などの複数の疾患が候補にあるため、確定診断には全身麻酔下でのMRI検査が必要となります。
MRI検査で椎間板が脊髄を圧迫している所見がみられれば、椎間板ヘルニアの確定診断となります。
(MRI検査は大学病院や二次診療施設、画像診療センターでのみ実施可能な検査です。)

そして、椎間板ヘルニアは症状の重さによって下記のような5つのグレードに分けることが基本です。

グレード1:最も軽度であり、神経機能は正常だが痛みを感じている状態。
グレード2:軽いふらつきなどの神経症状はみられるが、歩行可能な状態。
グレード3:麻痺を伴い、自らの意思で肢を正常に動かせない状態。足を引きずって歩く。
グレード4:グレード3から麻痺がさらに進行し、自分の意思で排尿できない状態。
グレード5:最も重度であり、麻痺した肢の深部痛覚が消失している状態。回復を見込むのはほぼ不可能。

治療方法


椎間板ヘルニアの治療には大きく分けて内科的治療外科的治療があり、グレードや痛みの強さ、年齢などに応じて最も適切な治療法を選択します。

グレード1〜2や痛みや麻痺が軽度の場合
治療の基本は内科的治療であり、自宅での絶対安静、抗炎症薬 (NSAIDsやステロイド)を使用します。
当院ではできるだけ愛犬、愛猫の負担が小さい内科的治療を選択しており、多くの場合は内科的治療で症状の改善が見込めます

また当院の強みとして、オゾン療法 (適切な濃度のオゾンを用いて免疫の向上や抗酸化作用などの効果を狙う)を実施している点があります。

グレード3以上や痛みや麻痺が重度の場合
内科的治療で症状の改善が見込めない場合は、外科的治療が必要となります。

当院では片側椎弓切除術や小範囲片側椎弓切除術により、飛び出した椎間板を取り除く手術を実施しています。そして、手術後はリハビリを行い、麻痺からの回復を促すことが重要です。

また万が一、進行性脊髄軟化症になってしまった場合は有効な治療法はなく、痛みに対する緩和治療が中心となります。

予防法やご家庭での注意点


加齢による椎間板変性は避けられないため、椎間板ヘルニアを100%予防することはできませんが、ご自宅の環境を整え、激しい運動を避けることである程度予防ができます。 

具体的には、以下のポイントを守ればかなり脊椎への負担は軽減されます。

・ソファなどの高いところから飛び降りたり、ジャンプさせたりしない
階段や段差の昇り降りはできるだけ控える
・フリスビーキャッチや急に走るような、脊椎に負担がかかる激しい運動をさせない
・フローリングなどの滑りやすい床材は避ける (フロアコーティングやマットを敷くのがオススメ)
足裏の毛が伸びていたらこまめにカットする

また、肥満は脊椎にかかる体重が増加し、椎間板ヘルニアの発症率を高めるためダイエットも非常に効果的です。
さらに当院では発生予防や発症後の対症療法として、漢方薬やサプリメントの使用をおすすめしています。

まとめ


特に犬において椎間板ヘルニアの生涯有病率 (生まれてから死ぬまでに椎間板ヘルニアに一度でもなる確率)は3〜4%ほどと報告されていますが、軟骨異栄養性犬種の代表であるダックスフンドでは20〜60%であるという報告があります。

椎間板ヘルニアは早期発見・早期治療がその後の回復具合を決める重要な要素なので、愛犬、愛猫に椎間板ヘルニアが疑われるような麻痺や痛みのような症状がみられたら、すぐに早めにかかりつけの動物病院を受診してください。

 

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