犬と猫の去勢手術について|問題行動を改善し、病気の予防にもつながる2024年08月10日
去勢手術について、「人間の都合で手術するのはかわいそう」「オス本来の性格が失われるのでは」といったマイナスイメージを持たれる方もいらっしゃいます。しかし、去勢手術には健康面や社会面で多くのメリットがありますので、オス犬やオス猫を飼われている方には、ぜひ一度考慮していただきたい手術です。
今回は、去勢手術のメリットや手術の流れ、術後のケアについて詳しく解説します。
去勢手術を検討する際の参考にしていただければ幸いです。
■目次
1.去勢手術とは?
2.去勢手術のメリット・デメリット
3.去勢手術の内容
4.手術後の生活で気を付けるポイント
5.災害時の去勢手術の重要性
6.まとめ
去勢手術とは?
去勢手術とは、オスの繁殖能力をなくすために精巣を取り出す手術です。この手術によって、オス犬やオス猫は繁殖できなくなります。
一般的には、生後6か月を過ぎた頃に行われますが、体格や成長具合、永久歯の生え揃い具合や最新の知見を踏まえ、適切な時期を判断します。
去勢手術を行うことで、前立腺肥大や精巣腫瘍、肛門周囲腺腫などの病気を予防することができます。
さらに他のメリットとしては、性ホルモンの影響を受ける行動(マーキングや攻撃性など)が軽減され、飼い主様との生活がより快適になるなどが挙げられます。
去勢手術のメリット・デメリット
<メリット>
・不本意な繁殖の防止
去勢手術を行うことで、不本意な繁殖を防ぐことができます。適正な数の飼育や、野良猫や野良犬の繁殖防止につながります。
・病気の予防
生殖器関連の病気である前立腺疾患や精巣腫瘍、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアの発生率を低下させます。
・問題行動の軽減
オス特有のホルモンの分泌が減ることで、マーキング行動や攻撃性の減少にもつながります。
<デメリット>
・全身麻酔のリスク
手術には全身麻酔が必要であり、100%の安全が保障されるわけではありません。麻酔のリスクを最小限にするために、事前の健康チェックが重要です。
・肥満のリスク
去勢手術後、ホルモンバランスの変化により肥満になりやすくなります。予防のためには、適切な食事管理と運動が必要です。
去勢手術の内容
手術前には、血液検査等の術前検査を行い、麻酔をかける上で健康上の懸念がないか確認します。手術時の麻酔は、対象動物の状態や性格を考慮して種類や量を決定し、常にバイタルサインをモニタリングしながら行います。
犬の去勢手術には、閉鎖式と開放式の2種類があります。
切開部は陰嚢と陰茎の間で、閉鎖式では切開後に総鞘膜という精巣を覆っている膜を切開せずに精巣を取り出します。
一方、開放式では総鞘膜を切開してから精巣を取り出します。摘出後は、皮下組織と皮膚を縫合して手術は終了です。
猫も閉鎖式と開放式のどちらかの術式で行われます。手術は陰嚢の直上を切開し、犬とは異なり、血管と精管を糸で縛らずに血管と精管同士で結び目を作る方法が使われます。傷口は非常に小さく、早く癒合するため縫合は必要ありません。
手術後は、麻酔からの覚醒を注意深く観察し、完全に目覚めるまで状態を確認します。
手術後の生活で気を付けるポイント
退院直後は、獣医師の指示に従い、少量の水を与えながら様子を見ましょう。えづいたり嘔吐したりしないかを確認することが大切です。
また、術部を舐めたりいじったりしないように注意深く観察してください。
手術直後は、手術や入院の疲れから元気がないことがありますが、数日たってもその状態が続く場合は、動物病院に相談しましょう。
災害時の去勢手術の重要性
災害時に避難所で生活する際、犬や猫のマーキングや発情による問題行動が、周囲の人々に迷惑をかけることがあります。去勢手術を受けていると、性的なストレスが軽減され、他の動物とのトラブルも少なくなります。また、避難所にいる他の動物との交配のリスクも減少します。
さらに、自治体や避難所によっては、同行避難の条件として去勢済みであることを求められる場合もあります。去勢手術を受けることで、避難所での生活がスムーズに進み、周囲の人々とのトラブルを回避できます。
まとめ
去勢手術は、単に繁殖を防ぐための手術ではありません。愛犬や愛猫の健康寿命を延ばし、前立腺疾患や精巣腫瘍、肛門周囲腺腫などの病気のリスクを減らす効果があります。また、マーキングや攻撃性といった問題行動の軽減にもつながり、飼い主様との生活をより快適なものにします。
去勢手術は決してかわいそうな手術ではなく、大切な家族の一員である愛犬や愛猫の健康と幸福を守るための重要な選択です。手術に関して不安や疑問がある場合は、ぜひ当院にご相談ください。
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