子犬・子猫に多い病気|早期発見と予防のポイント2024年07月15日
子犬や子猫はウイルスや菌への抵抗力が弱く、病気になりやすい傾向にあります。
まだ体も小さく未熟なため、早くに治療をしないとその後の成長に影響することもあります。
最悪の場合、命に関わることもあるため、初期症状を見逃さず、気がついたらすぐに病院で治療を受けましょう。
今回は、子犬や子猫に多い病気とその症状、発見した場合の対処法、ワクチンで防げる病気などを解説します。
■目次
1.下痢
2.嘔吐
3.目やに
4.ワクチンで防げる犬の病気
5.ワクチンで防げる猫の病気
6.予防と早期発見のポイント
7.まとめ
下痢
便の水分量が多く、水状、またはそれに近い便を「下痢便」、少しやわらかい便を「軟便」と呼びます。
どちらも小腸や大腸で十分に水分が吸収されなかったために起こりますが、その原因にはさまざまです。
<下痢の主な原因>
・食事の変更や食べ過ぎによる消化不良
・環境の変化や騒音、ストレスなどによる胃腸炎
・ウイルスや細菌による感染性胃腸炎
・消化管内寄生虫によるもの
子犬や子猫では、急にフードを変えると下痢をしてしまうことがあるので、初めて食べさせるものは少量から与えましょう。
また、フードの変更の際には前のフードに少し混ぜ、徐々に増やしていくとよいでしょう。もし合わないようであれば別のフードに変えてみてください。
食べ過ぎは飼い主様の責任ですので、盗み食いなどされないよう注意しましょう。
消化不良やストレスによる胃腸炎は、お腹を休ませることで治ることもありますが、脱水の原因にもなるので、続くようであれば早めに動物病院で治療を受けてください。
受診の際には下痢便を持っていくと、糞便検査で原因を探ることができます。
ウイルスや細菌、消化管内寄生虫が原因の場合は、それに応じた治療が必要です。
嘔吐
胃の中にあるものが口から出ることを「嘔吐」と呼びます。飲み込んだ直後に吐き出す「吐出」とは違い、食べてから少し時間が経って酸っぱい匂いがする胃液とともに吐き出されます。
<嘔吐の主な原因>
・食べ過ぎや異物誤飲
・ウイルスや細菌による感染性胃腸炎
・薬の副作用
子犬や子猫は好奇心旺盛でなんでも口に入れてしまう傾向にありますが、消化できないものを飲み込むと胃の中に留まり、嘔吐することがあります。
また、中毒を起こすものを食べた場合も嘔吐が見られます。食べ物以外を飲み込まないように、生活環境を整えることが大切です。
何か飲み込んだものが腸に入ってしまうと腸閉塞を起こし、手術でないと取り出せなくなります。胃の中にあれば吐かせるか、内視鏡で異物をとることもできますので、なるべく早めに受診しましょう。
ウイルスや細菌による感染性胃腸炎は、原因に対する治療が必要です。
多くはありませんが、薬の副作用で嘔吐が見られることもあります。もし投薬中に嘔吐が見られたら、すぐに受診してください。
どの原因であっても、嘔吐した後にすぐに水を飲ませるとそれが刺激となってさらに吐くことがあります。
目やに
目やには寝起きなどに少しついている程度であれば自然なものなので問題ありませんが、常に目やにが出ている、目やにが多いなどの場合は、目の病気が疑われます。
<目やにの主な原因>
・アレルギー
・外傷、角膜潰瘍
・ウイルスや細菌感染
・先天性の目の異常(逆さまつ毛、眼瞼内反症など)
体質によっては食べ物や花粉、ハウスダストなどへのアレルギーで、目や目の周りの皮膚に炎症が起こり、目やにが出ることがあります。
アレルギーに対しては、原因物質を遠ざけることや、散歩後のブラッシング、かゆみを抑える目薬などで継続的な治療が必要です。
また、目に傷がつき、角膜に炎症や潰瘍が起こることでも目やには出ます。ひどくなると失明の恐れがあるため、早めの治療が必要です。
ウイルスや細菌感染による感染性の目の炎症は、特に猫の結膜炎でよく見られます。
子猫の瞼がパンパンに膨らんでいる場合、ウイルスによる結膜炎の可能性が高いです。新しく迎え入れた猫が先住猫に感染させないよう、しばらくは別々で過ごすことをお勧めします。
どの原因であっても、ひどくなる前に早めに動物病院に連れていき、治療を受けるようにしましょう。
ワクチンで防げる犬の病気
混合ワクチンは、感染力が強く致死率の高い感染症から愛犬を守るために必要です。
ワクチンには致死率が高く全ての動物に接種が必要と認められているコアワクチンと、感染のリスクがある動物に勧められるノンコアワクチンがあります。
<犬のコアワクチン>
・犬ジステンパーウイルス感染症
・犬パルボウイルス感染症
・犬伝染性肝炎(犬アデノウイルス1型)
・犬伝染性喉頭気管炎(犬アデノウイルス2型)
<犬のノンコアワクチン>
・犬パラインフルエンザ感染症
・犬レプトスピラ症
・犬コロナウイルス感染症
当院の犬用混合ワクチンは、5種混合ワクチン(コアワクチン4種とパラインフルエンザ)と7種混合ワクチン(5種混合ワクチンにレプトスピラ2種)を取り扱っております。
散歩コースやお出かけ先、他の動物との関わり、住環境や年齢に応じて、最適なワクチンをご案内いたします。
犬の場合は、生後6週目くらいから3回のワクチン接種を行い、その後は1年に1回のワクチン接種が推奨されています。
子犬を家族に迎えた際には、健康状態の確認と合わせて、ぜひワクチン接種にお越しください。
なお、犬には狂犬病予防接種が全ての飼い主様に義務付けられています。
ワクチンで防げる猫の病気
猫も犬と同様に、感染力と致死率の高い感染症に対する混合ワクチンがあります。
<猫のコアワクチン>
・猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)
・猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)
・猫カリシウイルス感染症
<猫のノンコアワクチン>
・猫クラミジア感染症
・猫白血病ウイルス感染症
・猫免疫不全ウイルス感染症
当院では、猫のワクチンはコアワクチンのみの3種混合ワクチンと、ノンコアワクチン(クラミジア、白血病)を加えた5種を取り扱っています。
外に出る機会のある猫には、特にノンコアワクチンの接種をお勧めします。
子猫も生後2ヶ月ほどから2〜3回の接種を行い、その後は1年に1回の接種を推奨しています。
予防と早期発見のポイント
子犬や子猫を病気から守るために、フィラリア予防、ノミ・マダニ予防、混合ワクチンの接種を行いましょう。
小さな体はまだ弱く、感染症への抵抗力が低いため、少しの症状でも重症化してしまうことがあります。ですから、普段からしっかり様子を観察し、少しでもおかしいと感じたら、早めに動物病院を受診することをお勧めします。
さらに、動物は病気を隠すことが多いため、生まれつきの病気などがあっても気づかれずに進行してしまうことがあります。
これを防ぐためにも、定期的に動物病院で健康診断を受けることが重要です。
健康診断の結果、異常がなかったとしても、その子の基礎データを蓄積することができます。これにより、いざ病気になったときの診断や治療に役立てることができます。
犬や猫は言葉を使って体調不良を訴えることができません。だからこそ、定期的に動物病院で健康チェックを行い、愛犬や愛猫の健康を守ってあげましょう。
まとめ
今回は子犬や子猫に多い病気や混合ワクチン、予防と早期発見のポイントをお話ししました。
どの病気であっても、早期に発見して適切な治療を始めることは非常に重要です。しかし、治療が難しく感染力が高い感染症に対しては、しっかりワクチンで予防してあげることも大切です。
また、愛犬や愛猫のことをよく知っているかかりつけの動物病院があると、いざというときに非常に心強い存在になります。継続して通院できるような信頼できる動物病院を持つことをお勧めします。
■予防医療についてはこちらで解説しています
・犬と猫の健康診断の重要性|愛犬・愛猫の健康のために
・犬の狂犬病、フィラリア症、ノミ・マダニ┃概要や予防の重要性について
・犬と猫の不妊手術について|病気の予防になる?時期やリスクを解説
・犬と猫の去勢手術について|問題行動を改善し、病気の予防にもつながる
・子犬・子猫の自分に合った選び方 | 新しい家族を迎える前に知っておきたいポイント
千葉県佐倉市の動物病院なら「リアンアニマルクリニック」
診療案内はこちらから
■電車でお越し場合
ユーカリが丘駅・地区センター駅から徒歩6分
■車のお越し場合
駐車場5台完備
アクセスはこちらから