犬と猫の不妊手術について|病気の予防になる?時期やリスクを解説2024年08月20日
犬と猫の不妊手術については、病気でもないのに手術をすることに抵抗を感じる方も多いかと思います。しかし、若くて健康なうちに実施することで、将来的な病気のリスクを減らすことができ、行動面でも安定するなど多くのメリットがあります。
今回は、犬と猫の不妊手術について、その概要を詳しく解説します。
手術のメリットやデメリット、手術の流れ、術後のケアについても触れますので、手術を検討する際の参考にしていただければ幸いです。
■目次
1.不妊手術とは?
2.不妊手術のメリット・デメリット
3.不妊手術の内容
4.手術後の生活で気を付けるポイント
5.災害時の去勢手術の重要性
6.まとめ
不妊手術とは?
不妊手術とは、動物の生殖能力を喪失させる手術の総称で、メスの卵巣と子宮(もしくは卵巣のみ)を摘出する手術を指します。
一般的には、生後6か月を過ぎた頃に行われますが、体格や成長具合、永久歯の生え揃い具合や最新の知見を踏まえ、適切な時期を判断します。
不妊手術を早めに行う理由の1つとして、何度か発情を繰り返してからの手術では、乳腺腫瘍や子宮腫瘍、子宮蓄膿症などの性ホルモン由来の病気の予防効果が低下することが挙げられます。そのため、遅くとも2回目の発情が来るまでに不妊手術を受けることが推奨されます。
不妊手術のメリット・デメリット
<メリット>
・望まない妊娠の防止
不妊手術を行うことで、望まない妊娠を防ぐことができます。同居動物がいなくても、外へ出てしまった際や、ドッグランやトリミング施設などで他の動物と接触する機会がありますので、注意が必要です。
・病気の予防
不妊手術により、乳腺腫瘍や子宮腫瘍、子宮蓄膿症などの性ホルモン由来の病気や生殖器疾患の予防につながります。
また、発情時にはてんかん発作が増えたり、糖尿病が悪化したりするケースが知られています。
乳腺腫瘍についてはこちらで解説しています
・問題行動の軽減
メス猫の発情期には独特の鳴き声が問題となることがありますが、不妊手術を行うことでそのような問題行動も軽減します。また、犬でも発情期に見られるストレス行動が減少します。
<デメリット>
・全身麻酔のリスク
手術には全身麻酔が必要であり、100%の安全が保障されるわけではありません。しかし、麻酔のリスクを最小限にするために、事前にしっかりとした健康チェックを行います。
・肥満のリスク
手術後、ホルモンバランスの変化により太りやすくなることがあります。予防のためには、適切な食事管理と運動が必要です。
・尿漏れの可能性
一部の犬や猫では、手術後に尿漏れが起きることがありますが、適切な治療やケアを行うことで管理することが可能です。
不妊手術にはメリットとデメリットがあり、愛犬や愛猫に最適な選択をするためには、飼い主様が十分に理解し、獣医師と相談することが大切です。
不妊手術の内容
手術前には、まず血液検査検査等の術前検査を実施し、基礎疾患がないかを確認します。問題がなければ、手術を開始します。
最初に鎮静剤や鎮痛剤を投与し、その後、吸入麻酔で麻酔を維持します。手術の流れは犬と猫で大きな違いはありません。
手術では、最初に手術部位を消毒し、皮膚と腹膜を切開します。次に、血管を結紮しながら卵巣と子宮を摘出します。特に犬の場合、子宮広間膜には太い血管が通っていることが多いため、シーリングデバイスや電気メスなどで慎重に止血処理を行います。
摘出後、出血がないことを確認し、問題がなければ傷を閉じて手術は終了です。
手術後は、動物がしっかりと目覚めるまで注意深く観察し、状態をこまめに確認します。
手術後の生活で気を付けるポイント
手術後は、抗生剤や鎮痛剤を服用しながら、エリザベスカラーや術後服を使って傷口を保護します。
通常、一週間から十日ほどで抜糸が行われますが、その間、傷口をいじったり舐めたりしないように注意が必要です。
また術後に食欲が落ち、元気がない状態が続く場合は、すぐに病院へ相談してください。
災害時の不妊手術の重要性
災害時に避難所で生活する際、犬や猫のマーキングや発情による問題行動は、周囲の人々に迷惑をかけてしまうことがあります。また、避難所にいる他の動物との交配の可能性も考えられます。
さらに、自治体や避難所によっては、同行避難の条件として不妊手術済みであることが求められる場合もあります。不妊手術を受けることで、避難所での生活がスムーズに進むだけでなく、周囲の人々とのトラブルを避けることができます。
まとめ
不妊手術に対して不安を感じる飼い主様も多いかと思います。しかし、愛犬や愛猫の健康を守り、快適な生活を送るためには、不妊手術は非常に有効です。
特に、発情が始まる前に手術を行うことで、将来的な病気の予防や問題行動の軽減につながります。
まずは、獣医師に不妊手術について相談し、不安や疑問をしっかりと話し合いましょう。手術のメリットやデメリットを理解し、愛犬や愛猫にとって最良の選択をすることが大切です。
ご不明な点やご心配なことがありましたら、ぜひ当院にご相談ください。
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