猫が苦しそうに咳をする理由は喘息?|見逃しやすい症状と対策2024年12月01日
猫は体調が悪くても我慢してしまうことが多く、なかなか症状がわかりにくい動物です。
呼吸が苦しそう、何度も咳をする、などの様子が見られたら、注意が必要です。こうした症状はさまざまな原因で現れますが、その一つに「猫の喘息」があります。
猫の喘息は人間と同様に、ハウスダストや化学物質などに対するアレルギー反応が関係していると言われており、症状の緩和には、動物病院での治療だけでなく普段の生活環境を整えることもとても大切です。
今回は、猫の喘息の原因、症状、治療法、予防法などについて詳しく解説します。
■目次
1.猫の喘息とは?
2.症状
3.原因
4.診断
5.治療
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ
猫の喘息とは?
猫の喘息とは、さまざまな原因で気管支に炎症が起こり、粘液が増えたり、気道が狭くなったりすることで発症する呼吸器の病気です。
症状は緩和と悪化を繰り返し、季節や生活環境に影響されることもあります。
症状
猫が喘息になると、以下のような症状が見られることが多いです。
・咳が出る
・ゼーゼーと息苦しそうにする
・首を伸ばして呼吸する
・口を開けて呼吸する
・運動を嫌がる
また長く呼吸が苦しい状態が続くと、体内の酸素が不足し、歯茎などの粘膜が青白く(チアノーゼ)なることがあります。さらに、重症化すると突然倒れてしまうこともあります。
原因
猫の喘息は、気道内のアレルギー反応によって引き起こされることがわかっています。
特に「Ⅰ型過敏反応」と呼ばれる反応が関係しており、アレルゲンが免疫グロブリンE(IgE)と結びつくことで、免疫に関わる肥満細胞から生理活性物質が放出され、炎症が引き起こされます。
猫の喘息に関連する主なアレルゲンには、以下のようなものがあります。
・ハウスダスト
・花粉
・ダニの死骸
・タバコの煙
・ホコリ
・強い香りの芳香剤や清掃用化学物質
診断
猫の喘息を正しく診断するためには、気管支の炎症を引き起こす他の病気との区別が必要です。そのため、以下のようなさまざまな検査を総合して判断します。
・問診・身体検査:飼い主様からの情報をもとに、症状の頻度や状況を確認
・血液検査:体内の炎症レベルやアレルギー反応の有無を調べる
・レントゲン検査:気管支の炎症や閉塞の程度を確認する
・アレルギー検査:アレルゲンの特定に役立つ場合もある
さらに必要に応じて、気管支鏡検査や気管支肺胞洗浄による細胞診、CT検査などが追加され、詳細な診断が行われます。
治療
喘息の治療は、原因となるアレルゲンを取り除くことと、症状を抑える薬物療法が中心です。
<環境の見直し>
アレルゲンが特定できた場合、生活環境からそれを排除することが重要です。タバコの煙を避け、掃除や換気を頻繁に行い、ホコリやダニの発生を抑えましょう。
<薬物療法>
動物病院では、気管支の炎症を抑えるステロイドや、気道を広げる薬がよく使われます。
また、吸入器やネブライザーを使った治療も選択肢に入ります。特に、長期間の管理が必要な場合は、副作用が少ないため、こうした方法がより適していることもあります。
予防法やご家庭での注意点
ご家庭でできる予防として、アレルゲンをできるだけ減らすことが大切です。
猫のトイレや寝床をこまめに清潔に保つこと、お部屋にホコリがたまらないように掃除をすること、定期的に空気を入れ替えることなどを心がけましょう。
また、タバコや香りの強い香水や芳香剤も控えると、症状の予防に役立ちます。
まとめ
猫の喘息は、アレルギーによって引き起こされることが多い呼吸器の病気です。咳や苦しそうな呼吸といった症状が見られたら、早めに動物病院での診断を受けることが大切です。
また、愛猫の健康を保つためには、ご家庭の環境を見直して清掃や換気を心がけ、アレルゲンへの対策を行いましょう。
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<参考文献>
Feline Asthma: What’s New and where might Clinical Practice be Heading? – PMC