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猫の口内炎とは?|ワクチンやデンタルケアで予防するためのポイント2024年12月16日

猫に多く見られる病気のひとつに、口内炎があります。
口内に炎症が起こると、猫は痛みを感じ、お腹が空いていてもフードを食べられなくなってしまいます。その結果、元気がなくなり、日々の生活が大きく影響を受けてしまうこともあります。このように、口内炎は猫の生活の質(QOL)を損なう原因となり得る病気です。

猫の口内は普段なかなか覗き見る機会が少ないかもしれませんが、もし普段と様子が違ったり、食事を嫌がったりしている場合には一度お口の中をチェックしてみましょう。
もし赤みや腫れなどが見られた場合、早めに動物病院を受診することが大切です。

今回は、猫の口内炎について基本的な情報をお伝えします。少しでも参考にしていただき、受診のタイミングを考えるきっかけとしてお役立ていただければと思います。

■目次
1.猫の口内炎とは?
2.症状
3.原因
4.診断
5.治療
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ

 

猫の口内炎とは?


口内炎とは、口の中の粘膜が炎症を起こしている状態のことです。猫の場合、この炎症が数カ月から数年といった長い期間にわたって続くことが多く、症状が改善しにくいのが特徴です。

報告によると、猫の0.7~12%が口内炎を発症していると言われており、決して珍しい病気ではありません。

 

症状


猫の口内炎では、以下のような症状がよく見られます。

口に触られることを嫌がる
口臭がある
よだれが多い、血が混じる
フードを食べるのに時間がかかる、またはあまり食べない
体重が減少する
元気がなくなり、動きたがらない

 

原因


猫の口内炎は、はっきりとした原因がわかっていないものの、以下のような要素が発症に関わっていると考えられています。

・ウイルスの感染
猫カリシウイルス(FCV)、猫ヘルペスウイルス(FHV)、猫白血病ウイルス(FeLV)、猫免疫不全ウイルス(FIV)などの感染が、口内炎の引き金になることがあります。これらのウイルスは免疫力を低下させ、口内の炎症を引き起こしやすくします。

・歯周病
歯磨き不足や歯垢(プラーク)や歯石の蓄積により歯周病が進行すると、口内環境が悪化して口内炎が発生しやすくなります。
猫の歯磨きは難しいですが、歯周病予防が口内炎のリスクを下げることにもつながります。

・アレルギー
歯周病菌に対するアレルギー反応や、食物アレルギーが炎症を引き起こすことがあります。

・その他
口の中にできる腫瘍や異物の誤飲によるケガ栄養不足なども、口内炎の原因となることがあります。

 

診断


猫の口内炎の診断では、まず口の中をしっかりと観察することが重要です。具体的には、口内のどこに炎症(赤み)があるか、出血が見られるか、歯や歯茎に異常がないかといった点を確認します。

加えて、全身状態を調べるために血液検査も行います。口内炎は全身の健康状態とも関わりがあるため、血液検査で健康状態を確認することが大切です。
さらに、食物アレルギーが疑われる場合にはアレルギー検査、感染症の可能性がある場合にはウイルス検査も実施し、感染の有無を確認します。

 

治療


現在のところ、猫の口内炎治療で最も効果的とされている方法は、すべての奥歯(臼歯)を抜歯することです。抜歯することで炎症を引き起こす原因が減り、症状が改善されるケースが多く報告されています。

抜歯以外の治療法としては、以下のような選択肢があります。

<痛薬・抗炎症薬の投与>
痛みや炎症を抑えるために、鎮痛薬や抗炎症薬を使用します。これにより、一時的に症状が緩和され、猫が少しでも快適に過ごせるようにサポートします。

 

<免疫抑制療法>
ステロイドなどを用いて、免疫反応を抑制する方法です。猫の免疫反応が口内炎を悪化させている場合に効果が期待されます。

 

<食事の変更>
アレルゲンが特定できた場合、アレルギーに対応した食事に切り替えることで、口内炎の改善が見込めることもあります。

ただし、これらの治療はすべての猫に必ず効果があるわけではなく、最初は改善が見られても再発するケースも少なくありません。
そのため、飼い主様とご相談しながら愛猫に合った治療方針を一緒に考えていきます。

 

予防法やご家庭での注意点


猫の口内炎にはウイルス感染が関わっていることが多いため、予防として混合ワクチンをしっかり接種することが大切です。

また、歯周病も口内炎の一因となるため、日頃のデンタルケアや定期的なスケーリングを心がけましょう。
1回ですべての歯をきれいにするのは難しいことなので、最初は短い時間から始め、少しずつケアに慣れさせるのがポイントです。
もし、歯磨きが難しい場合は動物病院でのスケーリング(歯石除去)も検討しましょう。

さらに、猫が十分な栄養を摂れるようなフードを与えることも大切です。アレルギーが疑われる場合には、アレルギー対応のフードを選ぶことで、口内環境の改善が期待できます。

 

まとめ


口内炎は猫に多い病気のひとつで、長期にわたって痛みが続くと、心身ともに負担がかかり、衰弱してしまう恐れがあります。日頃から愛猫の様子に変化がないか注意を払い、少しでも異変を感じたら早めに動物病院を受診しましょう。

口内炎の治療には多くの歯を抜く必要があるケースもあるため、できる限り発症を防ぐことが重要です。
混合ワクチンの接種でウイルス感染を予防すること、日頃のデンタルケアを心がけること、そしてアレルギーへの配慮を行うことで、口内炎のリスクを減らすサポートができます。
これらの対策を通じて、猫が健やかに過ごせるようサポートしていきましょう。

 

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<参考文献>
Therapeutic Management of Feline Chronic Gingivostomatitis: A Systematic Review of the Literature – PMC

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