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愛犬のお腹が膨らんでる?毛が抜ける?|クッシング症候群の症状と治療法を徹底解説2025年02月01日

愛犬のお腹が膨らんでいるのを見て「太ったのかな?」と思うことがあるかもしれませんが、実はクッシング症候群という病気が関係している可能性もあります。

この病気は中高齢の犬に多く見られ、副腎からステロイドホルモン(コルチゾール)が過剰に分泌されることで発症し、かゆみのない脱毛、過食、多飲多尿などの症状が現れます。

治療をしないまま放置すると、糖尿病や血栓塞栓症、全身性の高血圧など、命に関わる病気を引き起こす可能性があるため、早期発見と早期治療がとても重要です。

今回は、犬のクッシング症候群について、注意すべき症状や当院で行っている診断・治療方法について詳しく解説します。

■目次
1.クッシング症候群の基礎知識
2.主な症状と早期発見のポイント
3.診断方法
4.治療方法
5.予防方法や日常生活での注意点
6.まとめ

 

クッシング症候群の基礎知識


クッシング症候群は、別名副腎皮質機能亢進症とも呼ばれる病気です。
その名の通り、副腎(腎臓の隣にあるホルモンを分泌する器官)の機能異常により、ステロイドホルモン(コルチゾール)が過剰に分泌されることで、さまざまな症状を引き起こします。

クッシング症候群は、その発症の仕組みによって2つのタイプに分けられます。

<下垂体性クッシング症候群>
下垂体(脳の近くにあり、全身のホルモンをコントロールする器官)に腫瘍ができることで発症します。この腫瘍が、副腎に過剰な刺激を送り続け、コルチゾールの分泌量が増えすぎる原因となります。
犬のクッシング症候群の多くは、このタイプに分類されます。

<副腎性クッシング症候群>
副腎そのものに腫瘍ができることで、コルチゾールの分泌量が増加します。

クッシング症候群に関する説明図。犬のイラストに、下垂体の腫瘍化による副腎の過剰な刺激と、副腎の腫瘍化によるコルチゾールの増加が示されている。腎臓、副腎、脳の部位が色分けされ、矢印で病態の流れが図解されている。

クッシング症候群は中高齢の犬に多い病気です。海外の報告では、プードルボクサーなどの犬種が特にリスクが高いとされています。ただし、どの犬種でも発症の可能性があるため、年齢や犬種に関係なく注意が必要です。

 

主な症状と早期発見のポイント


クッシング症候群では、以下のような症状がよく見られます。

多飲・多尿:水を飲む量やトイレの回数が増える
食欲の増加
お腹の膨らみ
皮膚・被毛の変化:左右対称に毛が抜ける、皮膚が薄くなる(菲薄化)
筋力の低下
・その他の症状:パンティング(浅く速い呼吸)、活動性の低下、尿失禁など

クッシング症候群の症状を示す犬のイラスト。症状として、パンティング、多飲・多尿、活動性の低下、食欲の増加、皮膚・被毛の変化、お腹の膨らみ、尿失禁が矢印で指し示されている。

早期発見・早期治療を実現するには、ご家庭でこういった異変を早めに察知することがポイントになります。
特に皮膚や被毛の変化は目で見てわかりやすいので、かゆがる様子がないのに毛が抜け落ちてきた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

また、お腹の膨らみは肥満、筋力の低下は加齢によるものと誤解されがちですが、これらもクッシング症候群の症状である可能性があります。普段と何か違うと感じたら、気軽に動物病院で相談してみましょう。

 

診断方法


クッシング症候群は、さまざまな検査を組み合わせて総合的に判断します。

身体検査:症状の有無を確認します。
血液検査:コルチゾールの濃度や、その他の異常値を調べます。
エコー検査(超音波検査):副腎の大きさ(厚み)を確認し、正常なサイズより大きくなっているようであればクッシング症候群を疑います。

各種検査によってクッシング症候群が強く疑われた場合、次の特殊検査を実施して確定診断を行います。

ACTH刺激試験:副腎を刺激し、コルチゾールの反応を調べます。
低用量デキサメサゾン抑制試験:ホルモンの抑制機能が正常に働いているかを確認します。

 

治療方法


クッシング症候群の治療は、内科療法(投薬)と外科療法(手術)の2つに分かれます。

<内科療法(投薬)>
トリロスタンといった、コルチゾールの合成を抑える作用を持つ動物用医薬品を使用して、症状をコントロールします。
この治療は一生涯続ける必要があり、副作用として嘔吐や下痢、元気・食欲の低下といった症状が現れることに注意が必要です。

治療開始後は、定期的に動物病院で診察を受け、症状の変化を観察しながら投薬量を調整していきます。

<外科療法(手術)>
クッシング症候群の原因が副腎の腫瘍である場合には、手術が検討されます。
手術後は、副腎の機能が低下するため、ステロイド剤の投与が必要になります。

 

予防方法や日常生活での注意点


クッシング症候群は、主に下垂体の腫瘍が原因となるため、予防が難しい病気です。しかし、病気が進行すると糖尿病やその他の深刻な病気につながる可能性があるため、愛犬の見た目や行動に変化がないかをよく観察し、早期発見に努めましょう。

糖尿病についてはこちらから

 

まとめ


クッシング症候群は、中高齢の犬に多いホルモンの病気で、合併症として糖尿病や血栓塞栓症など命に関わるリスクが高まる可能性があります。そのため、早期発見と治療の開始がとても大切です。

普段からの観察に加え、定期健診で獣医師によるチェックを受けることが、愛犬の健康を守るポイントとなります。当院の健康診断では、血液検査やエコー検査を行うことで、愛犬の状態を詳しく確認することができます。

愛犬の健康や生活で気になることがあれば、どんな些細なことでも構いません。ぜひお気軽にご相談ください。

 

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<参考文献>

Diagnosis of Spontaneous Canine Hyperadrenocorticism: 2012 ACVIM Consensus Statement (Small Animal) – Behrend – 2013 – Journal of Veterinary Internal Medicine – Wiley Online Library

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