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愛犬の目が赤い、痛そう…それは緑内障かも?|早期治療で失明を防ぐ2025年02月15日

愛犬の目が赤く充血していたり、目を気にしてこすったりする仕草が見られた場合、もしかしたら緑内障にかかっているかもしれません。
緑内障は猫よりも犬でよく見られる病気で、目の異変だけでなく、行動に変化が表れることもあります。

緑内障が進行すると目が見えなくなってしまう危険もあるので、充血などの症状が現れたら早めに動物病院を受診し、治療を始めることがとても重要です。

今回は、犬の緑内障を早期に発見して対応するためのポイントや、動物病院での診断方法、治療法について解説します。

■目次
1.緑内障の基礎知識
2.主な症状と早期発見のポイント
3.診断方法
4.治療方法
5.予防と日常のケア
6.まとめ

 

緑内障の基礎知識


緑内障とは、目の中にある「眼房水」という液体がうまく排出されず、目の中の圧力(眼圧)が上昇することで発症する病気です。この眼圧の上昇が視神経を圧迫し、目に深刻なダメージを与えます。

緑内障の仕組みを示す図。眼球の断面図で、水晶体、前房、毛様体、脈絡膜、網膜、強膜などの部位が示され、眼圧がかかる様子が緑色の矢印で示されている。視神経が圧迫されることによる影響がオレンジ色の吹き出しで説明されている。

眼圧が上がる原因はさまざまで、以下のような要因が関係しています。

遺伝的要因:特定の犬種(ビーグル、コッカー・スパニエル、柴など)で発症しやすいことが知られています。
他の病気ぶどう膜炎や腫瘍といった目の病気が引き金となる場合もあります。
先天性生まれつき眼房水の排出機能が弱いことが原因となるケースがあります。

緑内障で最も注意すべき点は、失明のリスクです。この病気は放置しても自然に治ることはなく、悪化すれば視力を失う可能性が非常に高くなります。失明に至ると治療の選択肢が大幅に減り、さらにその後の生活の質(QOL)にも大きな影響を与えてしまいます。

 

主な症状と早期発見のポイント


緑内障の症状は、以下のように目の変化や行動の変化として現れます。

・目そのものの変化:目の充血、目の濁り
・目を気にする様子:目をこする、目を細める
・行動の変化:障害物にぶつかる、段差でつまずく
・その他の症状:嘔吐、元気・食欲の低下

こうした症状は、急に現れる場合ゆっくり進行する場合があります。進行がゆっくりの場合は初期症状がわかりにくく、気づくのが遅れることも少なくありません。
目の充血は初期のサインなので、愛犬とスキンシップをとるときによく観察してみるとよいでしょう。

 

診断方法


緑内障は眼科検査によって診断します。

細隙灯顕微鏡検査(スリットランプ検査):目の表面や内部を詳しく観察し、異常がどの部分にあるのかを判断します。

眼圧検査:緑内障の診断で特に重要な検査です。眼圧を正確に測定するために、数回に分けて行うこともあります。この検査で眼圧が高い場合、緑内障である可能性が高まります。

眼底検査:視神経や網膜の状態を調べます。眼底がどのように影響を受けているかを確認することで、病気の進行度を把握します。

 

治療方法


緑内障の治療には、内科療法(点眼)と外科療法(手術)の2つがあります。

<内科療法(点眼治療)>
一般的に、緑内障の治療ではまず点眼薬が用いられます。

眼圧を下げる薬眼圧の上昇を抑えることで、目にかかる負担を軽減します。
炎症を抑える薬目の炎症を鎮め、緑内障の進行を抑えます。

点眼薬は継続的に使用する必要があり、飼い主様の協力が重要です。獣医師の指導に従い、定期的に使用することで治療効果を最大限に高めることができます。

外科療法(手術)
手術は、眼圧をさらに効果的に下げることを目的として行われます。ただし、外科療法は専門的な知識と高度な技術を要するため、専門医がいる施設で行われるケースが一般的です。

点眼薬を差されている犬のイラスト。

 

予防と日常のケア


緑内障は、初期には症状がほとんど見られないため、早期発見が難しい病気です。しかし、早めに気づき対応することで失明を防ぐことが可能です。

ご家庭での見落としを防ぐには、定期的に動物病院で目の検査を受けることが重要です。併せて、日常的に愛犬の目や行動を観察し、以下の点に注意しましょう。

目の充血濁りがないか
目をこする、または目を細める様子がないか
・障害物にぶつかったり、段差でつまずいたりなどの行動の変化がないか

もし嘔吐や元気・食欲の低下といった症状が見られる場合、眼圧がかなり上がっている可能性があります。これらの異変がある場合は、早めに動物病院を受診してください。目が見えなくなってからでは手遅れになってしまうので、早めの行動がとても重要です。

また、緑内障の治療を進めているときには、愛犬の視覚に配慮した環境整備がポイントになります。床に物を置かない、階段などの段差を避けた生活スペースを用意する、といったことにも気をつけましょう。

 

まとめ


緑内障は、柴犬をはじめとする犬種に多い目の病気で、進行すると失明の危険性があります。そのため、早期発見と早期治療がとても重要です。しかし、初期症状は気づきにくいため、日頃の観察だけでなく、かかりつけの動物病院での定期健診を受けることをおすすめします。

当院では、眼圧計をはじめとする緑内障の診断に必要な機器を備えています。愛犬の目や行動に少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
飼い主様と愛犬が安心して過ごせるよう、全力でサポートいたします。

 

■眼科に関連する記事はこちらです
白内障について|老犬に多い目の病気

 

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<参考文献>
Clinical Signs and Diagnosis of the Canine Primary Glaucomas”.https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4862370/,(参照2025-02-03)
“Feline Glaucoma – A Comprehensive Review”. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3348181/ , (参照2025-02-03)

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