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猫の高血圧|見逃すと怖い症状と治療法を獣医師が解説2025年03月01日

年齢を重ねた愛猫の健康、特に血圧について気になったことはありますか? 実は猫も人間と同じように、高血圧になることがあります。
猫の高血圧は初期症状が分かりにくい場合もあり、気づかずに放置してしまうと命に関わる深刻な病気を引き起こすことがあります。

「血圧が高いなんて、猫にもあるの?」と思われる飼い主様もいらっしゃるかもしれませんが、早期発見と適切な治療で健康を守ることができます。

今回は、猫の高血圧について、ご家庭で異変を見逃さないためのポイントや、実際の治療法について解説します。

■目次
1.猫の高血圧の基礎知識
2.高血圧の猫に見られる主な症状
3.診断方法
4.治療方法
5.日常生活での管理
6.予防と定期健診
7.まとめ

 

猫の高血圧の基礎知識


猫の高血圧は、主に何らかの病気や薬物投与が原因で起こる「続発性」の高血圧であることがほとんどです。これは、人間の多くが原因不明の「本態性」高血圧であることと大きく異なる点です。

 

高血圧を引き起こす病気としては、以下のようなものが挙げられます。

・腎臓の病気:慢性腎臓病など
・心臓の病気:肥大型心筋症など
・ホルモンの病気:甲状腺機能亢進症など

これらの病気にかかりやすい中高齢の猫で、高血圧が多く見られるのが特徴です。

 

猫の血圧の評価基準
猫の血圧は数値によって以下のように評価されます。

・140mmHg未満:正常血圧
・140~159mmHg:境界域高血圧(高血圧の一歩手前)
・160~179mmHg:高血圧
・180mmHg以上:重度の高血圧
※mmHg(ミリメートルエイチジー)は血圧表す単位

 

血圧が160mmHg以上になると高血圧とされ、血圧が上がるほど全身への影響が大きくなります。特に、180mmHg以上の重度高血圧は、命に関わるリスクが高まります。

※一部では、収縮期血圧が150mmHg以上、拡張期血圧が95mmHg以上を高血圧とする見方もあるようです。

 

高血圧の猫に見られる主な症状


猫の高血圧が影響を及ぼす臓器を示した図。猫の体に脳、目、腎臓、心臓の位置が赤い円で強調されており、それぞれの臓器がダメージを受ける可能性があることが示されている。

猫が高血圧になると、以下のようなさまざまな臓器や器官に影響が現れます。


網膜剥離によって失明のリスクが高まります。また、目の中で出血が見られることもあります。

・心臓
主に左心室(全身に血液を送り出す心臓の部屋)の筋肉が厚くなって、心雑音や不整脈が現れます。

・腎臓
尿を濃縮する機能が衰え、腎臓病の悪化につながります。

慢性腎臓病についてはこちらから

・脳
脳の血管の異常によって、行動に変化が表れたり、発作が起きたりします。

・その他
鼻血が出たり尿の異常が現れたりすることもあります。

 

診断方法


猫の高血圧を診断するうえで最も重要なのが、正確な血圧測定です。動物病院では、以下のような方法が採用されています。

 

<直接法(観血法)>
動脈に針を刺して血圧を測る方法です。非常に正確な値が得られますが、体に負担がかかるため、通常の診断ではあまり行われません。

 

<間接法(非観血法)>
猫を傷つけることなく血圧を測定する方法で、一般的に動物病院で採用されています。ゴム製のカフを巻いて簡単に測定できますが、直接法に比べるとやや正確性が劣る場合があります。

また、興奮すると血圧が一時的に高くなることがあり、正確な測定が難しくなる場合があります。
そのため、血圧測定を行う際には猫をリラックスさせることが重要です。さらに、猫の扱いや獣医師の測定技術も正確な結果を得るための大切なポイントとなります。

 

当院では、JAHA内科認定医の資格を持つ院長が、猫に優しく丁寧な検査を心がけておりますので、安心してご相談ください。

また、血圧測定だけでなく、以下のような検査も行い、高血圧を引き起こす可能性のある病気を総合的に調べます。

血液検査:腎臓や甲状腺など、内臓の状態を確認します。
尿検査:腎臓の働きや全身の健康状態を評価します。
心臓の検査:心臓の機能や構造を詳しく調べます(超音波やレントゲンを使用)。

猫の血圧測定のイラスト。猫の前脚に血圧計のカフが巻かれ、モニターに心拍マークが表示されている。右側には助けを求める表情の血液のキャラクターが『HELP!』と書かれた看板を持っている。

 

治療方法


猫の高血圧の治療では、原因となっている病気の治療と並行して、血圧を下げるお薬の処方を行います。

血圧を下げるお薬は、高血圧の程度や基礎疾患の種類に応じて使い分ける必要があります。そのため、治療プランは猫の個々の状態に合わせて慎重に立てられます。

 

日常生活での管理


猫の高血圧は、放置すると腎臓や心臓、目、脳などの臓器や器官に深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、血圧を下げるお薬を使用している場合でも、原因となっている病気の治療や日々の観察がとても大切です。

愛猫の健康を守るためには、普段の生活の中で少しでも異変を感じたら、早めに動物病院にご相談ください。
特に、「食欲がない」「元気がない」「視力に異常がある」などの症状が見られた場合は、放置せずに診察を受けることをおすすめします。

 

予防と定期健診


猫の高血圧の原因となる病気は高齢になるにつれて発症することが多く、ゆっくりと進行していくため、残念ながら予防が難しい場合がほとんどです。
しかし、定期的に動物病院を受診して健康診断を受けることで、早期発見・早期治療が可能になります。特に、血圧測定や血液検査を定期的に行うことで、病気の兆候をいち早くキャッチし、愛猫の健康を守ることができます。

高血圧やその原因となる病気は、早い段階で発見して治療を始めることが大切です。
症状が軽いうちに治療を開始することで病気の進行を防ぎ、愛猫の体への負担を最小限に抑えることができます。

特に高齢の猫(7歳以上)は、半年に1回程度の定期健診がおすすめです。血圧測定や血液検査を定期的に行うことで、病気の兆候を早めにキャッチすることができます。
また、若齢の猫でも、年に1回の健康診断を受けることで、隠れた病気を見逃さず、健康状態をしっかり確認することができます。

健康診断の重要性についてはこちらから

 

まとめ


血圧が高くなりすぎると、脳や心臓、腎臓などに深刻な悪影響を及ぼし、場合によっては命に関わる危険もあります。そのため、早期に発見し、定期的に血圧を測定してなるべく高くならないようにコントロールすることがとても重要です。

特に初期の高血圧は症状が分かりにくいため、定期健診時に血圧を測定することが早期発見につながります。当院では、血圧のコントロールはもちろん、高血圧の原因となる病気の治療も並行して進めておりますので、安心してお任せください。

「うちの子、もう年だけど大丈夫かな…」「腎臓病があるけど、血圧は気にしたことがないかも…」といったご不安やご質問がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。私たちが愛猫の健康を全力でサポートいたします。

 

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<参考文献>
原田佳代子. 4.高血圧. In: 犬と猫の腎臓病診療ハンドブック. 上地正実 監修. 2021. 緑書房.

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