犬・猫の老衰の症状とは?看取り・緩和ケアの考え方【獣医師監修】2026年08月01日
「最近、食欲が落ちてきた」
「寝ている時間が増えた気がする」
「立ち上がるのに時間がかかるようになった」
シニア期の犬や猫と暮らしていると、このような変化に気づくことがあるかもしれません。
年齢を重ねることで体にさまざまな変化が表れるのは自然なことですが、「これは老衰なのかな」「病気ではないのかな」と不安に感じる飼い主様も多くいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、犬や猫の老衰で見られる変化や、看取りの時期に大切にしたいこと、そして穏やかな時間を支えるための考え方についてご紹介します。

■目次
1.老衰で見られる症状とは?最期が近づくと表れる変化
2.看取りの時期に大切なこと|飼い主様ができるサポート
3.緩和ケアという選択肢|最期まで穏やかに過ごすために
4.大切なのは「亡くなる前」だけではありません|グリーフケアについて
5.まとめ|最期までその子らしく過ごせるように
老衰で見られる症状とは?最期が近づくと表れる変化
老衰とは、年齢を重ねることで全身の機能が少しずつ低下していく状態を指します。病気のように特定の原因があるわけではなく、体のさまざまな働きがゆっくりと変化していくことが特徴です。
老衰の進み方には個体差がありますが、終末期には次のような変化が見られることがあります。
🔶食欲や飲水量の変化
以前より食べる量が減ったり、水を飲む量が変わったりすることがあります。
食べられる量が少なくなっても、好きなものなら口にする場合もあり、その日の体調によっても変化します。
🔶活動量が減る・寝ている時間が増える
散歩に行きたがらなくなったり、以前より眠っている時間が長くなったりすることがあります。あまり動こうとせず、静かな場所で過ごす時間が増える子も少なくありません。
🔶筋力が低下する
立ち上がるまでに時間がかかったり、後ろ足がふらついたりすることがあります。
歩く距離が短くなったり、段差を避けるようになったりするのも、筋力の低下による変化のひとつです。
🔶排泄の変化
トイレまで間に合わなくなったり、自分で姿勢を保つことが難しくなったりすることで、排泄の介助が必要になる場合もあります。
🔶呼吸や反応の変化
呼吸がゆっくりになったり、反対に浅く速くなったりすることがあります。
また、名前を呼んだときの反応がゆっくりになったり、周囲への反応が以前より少なくなったりすることもあります。
ただし、老衰の表れ方や進行のスピードは、その子によって大きく異なります。また、食欲がある日もあればあまり食べられない日もあるように、日によって様子が変わることもあります。
看取りの時期に大切なこと|飼い主様ができるサポート
終末期を迎えた愛犬や愛猫と過ごす時間は、飼い主様にとってもさまざまな不安や迷いが生まれる時期です。「何をしてあげるのが一番いいのだろう」「もっとできることがあるのではないか」そんなふうに悩まれながらも、何を選べばその子にとってよいのか、すぐに答えを出せないこともあると思います。
看取りの時期には、その子の体調や様子に合わせながら、ご家庭でできるサポートを少しずつ整えていくことが大切です。

🔶安心して過ごせる環境を整える
寝床を静かな場所に用意したり、体勢を変えやすいように寝具を工夫したりすることで、体への負担を軽減できることがあります。
また、滑りにくい床にしたり、段差を減らしたりすることも、過ごしやすさにつながります。
🔶食事や飲水を無理のない範囲でサポートする
食欲が落ちていても、少量ずつなら食べられる場合があります。食べる量だけにとらわれず、その子が口にできるものを無理なく食べられることを大切にする、という考え方もあります。
🔶痛みや不快感をできるだけ和らげる
痛みや息苦しさ、不快感があると、その子らしく過ごすことが難しくなってしまいます。
終末期だからこそ「痛みを我慢するしかない」のではなく、不快な症状を和らげる方法がないかを考えていくことも大切です。
🔶その子らしい時間を大切にする
好きな場所で過ごしたり、安心できるご家族のそばでゆっくり眠ったり。以前と同じような生活が難しくなったとしても、その子らしく過ごせる時間を大切にしてあげることは、ご家族にとってもかけがえのない時間になります。
大切なのは「もっと頑張らせること」だけが正解ではないということです。その子が今どのような状態で、何を心地よいと感じているのかを考えながら、穏やかな過ごし方を支えていくことも、大切なサポートのひとつです。
緩和ケアという選択肢|最期まで穏やかに過ごすために
看取りの時期には、ご家庭でのサポートだけでなく、動物病院でできるケアもあります。
痛みや不快感を和らげたり、食欲や元気をできるだけ保てるように支えたりしながら、その子が最期までその子らしく過ごせる時間を支えることを「緩和ケア」といいます。
リアンアニマルクリニックでは、終末期のケアにおいて「最期の着地を少しでもよくしてあげること」を大切にしています。これは、最期の時間をできるだけ苦しさの少ないものにし、その子とご家族が穏やかに過ごせるように支えていくという考え方です。
例えば、年齢や体力の面から手術や大きな治療を選びにくい場合でも、できることが何もないわけではありません。その子ができるだけ穏やかに過ごせるように、状態に合わせたサポートを一緒に考えていきます。
当院では、その選択肢のひとつとして、漢方やオゾン療法を取り入れることがあります。もちろん、すべての子に同じ方法が合うわけではありません。体調やご家族の希望を伺いながら、その子にとって負担の少ない方法を検討していきます。
最期に向かう時間の中でも、苦しさを少しでも減らすこと、好きなものを口にできる時間を支えること、ご家族と穏やかに過ごせる時間を大切にすることは、その子にとって大きな意味を持つ場合があります。
大切なのは「亡くなる前」だけではありません|グリーフケアについて

看取りの時間は、犬や猫が亡くなる瞬間だけを指すものではありません。体調が少しずつ変化していく時期から、亡くなった後にご家族が悲しみと向き合う時間まで含めて、長く続いていくものです。
大切な家族を失った後に、悲しみや寂しさ、後悔、喪失感を覚えることは自然な反応です。
「もっと早く気づいてあげられたのではないか」
「あの選択でよかったのだろうか」
「最後にもっと何かできたのではないか」
そうした思いが浮かぶこともあるかもしれません。
グリーフケアとは、こうした悲しみや喪失感に向き合うための支援を指します。無理に気持ちを切り替えるためのものではなく、ご家族が少しずつ気持ちを整理していくための考え方です。
リアンアニマルクリニックでは、亡くなる前のケアだけでなく、亡くなった後のご家族の気持ちにも目を向けることを大切にしています。
「これでよかったのかな」と不安が残るときに、経過を一緒に振り返ること。
その子がどのように過ごしてきたのかを、ご家族と共有すること。
悲しみの中にいるご家族に、必要な言葉や時間を届けること。
そうした関わりも、動物病院ができる大切なサポートのひとつだと考えています。
リアンという名前には、人と動物の絆を大切にする思いが込められています。その絆は、病気を治療している間だけのものではありません。年齢を重ねてからの時間、看取りの時間、そしてお別れの後にも続いていくものです。
だからこそ当院では、その子とご家族が過ごしてきた時間を大切にしながら、亡くなる前後を含めて寄り添うことを大切にしています。
まとめ|最期までその子らしく過ごせるように
犬や猫の老衰では、食欲の低下や活動量の低下、筋力の低下、呼吸や排泄の変化など、さまざまなサインが見られることがあります。
終末期を迎えたとき「もう何もできない」と感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、緩和ケアによって苦痛や不快感を和らげたり、その子らしく過ごせる時間を支えたりできる可能性があります。
リアンアニマルクリニックでは、漢方やオゾン療法なども含め、その子の状態やご家族の希望に合わせた終末期ケアを一緒に考えています。
「老衰なのか病気なのか分からない」
「今の状態で何をしてあげればいいのか迷っている」
「最期までできるだけ穏やかに過ごしてほしい」
そう感じたときは、まずはぜひ一度ご相談にいらしてください。その子とご家族にとって大切な時間を、少しでも穏やかに過ごせるよう、できることを一緒に考えていきます。
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