犬と猫の外耳炎について|耳をしきりに掻いていたら要注意!2024年05月20日
愛犬や愛猫が耳を擦りつけたり、掻いたりすることが多いと気づいたら、それは外耳炎かもしれません。
通常、外耳炎は薬で治療しますが、何度も繰り返すと耳の通り道が狭くなってしまうことがあります。その場合、手術が必要となる場合もあるため、注意が必要です。
今回は犬の外耳炎について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
犬や猫の耳は、その特徴的な構造から外耳炎を発症しやすいとされています。
人間の耳がほぼ直線的なのに対し、犬や猫の耳道はL字型に曲がっており、この曲がり角が外部からの汚れや異物、湿気を内部に留めやすくします。
こうした環境は細菌や真菌が増殖しやすく、外耳炎を引き起こすことがあります。
特に、耳が垂れている犬種(コッカー・スパニエルやダックスフンドなど)や耳毛が多い犬種(ミニチュア・シュナウザー、シーズー、トイプードルなど)は、耳の通気性が悪く、外耳炎を発症しやすいと言われています。
外耳炎は他にも以下のような要因が組み合わさることで発症しやすくなります。
・細菌やマラセチア(真菌)の増殖
・アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、ホルモン疾患などの病気
・耳ダニ(ミミヒゼンダニ)
・異物
・腫瘍 など
症状
外耳炎の最も一般的な症状には耳のかゆみや痛みがあり、これが原因で耳を掻いたり、頭を振ったりする行動が見られます。
炎症が進むと、耳周辺の皮膚が赤く腫れ、耳からは異臭が発生することもあります。
また、耳垢の量が増えることや、耳垢の色が黒や茶色の濃いものに変わることも外耳炎の兆候とされています。これらの症状を見逃がすと、病状が中耳や内耳へと進行し、最悪の場合、聴力喪失を引き起こす可能性があります。
診断方法
外耳炎の診断は、まず問診を行った後、耳鏡やオトスコープ(耳の内視鏡)を使用して耳の内部を視認し、炎症の状態、耳垢の量や質、異物の有無などを確認します。
さらに採取した耳垢を顕微鏡で調べ、細菌や真菌、耳ダニなどの感染症がないかを確認します。
また、外耳炎を引き起こす基礎疾患があるかを調べるため、血液検査や画像検査などを行うこともあります。
治療方法
外耳炎の治療方法は原因によって異なりますが、基本的には以下のステップで行います。
1,耳道の洗浄
最初に、イヤークリーナーや生理食塩水を使用して耳道を洗浄し、耳垢や汚れ、異物を取り除きます。
2,薬剤の使用
洗浄後、感染の原因と炎症に応じて、抗生物質、抗真菌薬、抗炎症薬を含む点耳薬を処方します。
・寄生虫感染が原因の場合:駆虫薬を用いて寄生虫を排除します。
・アレルギーが関係している場合:アレルギーの原因を取り除くために食餌療法を実施したり、スキンケア製品を使用して皮膚の状態を改善します。
・二次的な細菌感染がある場合:抗生物質を点耳薬や内服薬として使用し、感染をコントロールします。
3,外科手術
慢性化している難治性の外耳炎や、耳道狭窄といった構造的問題がある場合には、外科手術が必要になることもあります。手術により耳道を広げることで、通気性を改善し再発を防ぎます。
外耳炎は再発しやすい疾患の一つです。そのため、治療後も定期的な耳の清掃と獣医師による診察を受けて再発していないか確認することも大切です。
予防法やご家庭での注意点
外耳炎の予防には、専用のイヤークリーナーで定期的に耳の清掃を行うことが効果的です。耳の中を清潔に保つことで、細菌や真菌の増殖を抑えることができます。
しかし、自宅で耳洗浄が難しい場合や耳毛が多い犬種は、月に1回動物病院やトリミングサロンで行ってもらうようにしましょう。
また、日頃から耳の中をよく観察し、皮膚の赤みや臭い、耳垢の量をチェックすることも重要です。
まとめ
犬や猫は耳の構造上、外耳炎を引き起こしやすく、さらにはアレルギーを持っている場合は再発を繰り返すことも珍しくありません。
そのため、定期的な耳掃除で外耳炎を予防しつつ、愛犬や愛猫が耳を痒がっていたり耳垢が異常に増えたりといった症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
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