犬と猫の尿検査と飼い主様自身で行う採尿方法について|尿の色やにおいでわかること2024年09月01日
尿検査は、動物病院でよく行われる検査のひとつです。犬や猫の体調が悪いとき、尿を調べることで原因の手がかりが見つかることがあります。
尿検査には、病院で直接採尿する方法と、飼い主様がご自宅で採尿して持ち込む方法があります。ただし、それぞれにメリット・デメリットがあるため、よく理解したうえで検討することが大切です。
今回は、犬と猫の尿検査の基本と、ご自宅で行う採尿方法について、わかりやすくご紹介します。
■目次
1.尿検査の重要性
2.尿検査でわかる病気と診るポイント
3.飼い主様自身で行う採尿方法
4.まとめ
尿検査の重要性
尿検査は、動物の健康状態を把握するために欠かせない検査です。尿には腎臓や肝臓、膀胱、尿道などの臓器の状態を反映する成分が含まれており、これらを調べることで体の中で何が起こっているのか、多くの情報を得ることができます。
また、尿の色や透明度、においなども重要な指標となります。尿が濃くなっている場合は、危険な状態である脱水の可能性が考えられますし、逆に薄すぎると腎臓の機能低下が疑われることもあります。
さらに、尿は動物にほとんど負担をかけずに採取できるため、定期的な健康チェックとしても非常に有効です。特に、高齢の場合や持病がある犬や猫が定期的に尿検査を行うことで、病気の進行を抑えるための早期対策が可能になります。
尿検査でわかる病気と診るポイント
尿検査は、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道と続く尿の排泄路)の病気を調べるために行われます。
それ以外にも、脱水の有無やホルモンの病気がないかなど、全身の状態を確認するためにも利用されます。具体的には、以下のような病気を調べることができます。
・慢性腎臓病/急性腎障害:尿中のタンパク質や尿比重を調べ、腎臓の機能を評価します。
・尿路結石:尿中に含まれる結晶成分やpHを調べることで、結石のリスクを確認します。
・膀胱炎/腎盂腎炎:尿中の細菌や血球成分を調べ、炎症の有無を確認します。
・尿路の腫瘍(移行上皮癌など):尿中に腫瘍細胞が含まれていないかを調べます。
・糖尿病:尿中に糖が含まれているかどうかを調べ、糖尿病の兆候を確認します。
飼い主様自身で行う採尿方法
採尿は、動物病院で行う方法と飼い主様がご自宅で行う方法の2つに分かれます。
基本的には、検査結果の正確性を担保するために、動物病院で採尿することが理想です。院内では、カテーテル採尿や膀胱穿刺(膀胱に針を刺して尿を直接採取する医療処置)といった方法を用いて採尿します。
これらは、不純物が入ったり、尿が揮発したり、尿の成分が変わるリスクを減らし、より正確な検査結果が得られるのが特徴です。
一方で、ご自宅での採尿は動物に負担をかけず、リラックスした状態で行えたり、針を刺したりせずに採尿ができるというメリットがあります。以下の方法で、簡単に採尿ができます。
<犬の場合>
・お散歩時:お散歩中に排尿した際、地面に落ちる前に紙コップや専用容器で尿を受け取ります。その後、密封容器に移し、動物病院に持参してください。特に、朝一番の尿は濃縮されていることが多く、検査に適しています。
・ご自宅のトイレ:ペットシーツを裏返して尿が吸収されないようにするか、トイレにビニールを敷いて尿を直接受け取るとよいでしょう。
清潔なビニールや容器を使用することで、尿に不純物が混入するのを防ぐことができます。
<猫の場合>
・ご自宅のトイレ:猫砂の上にビニールを敷き、砂が混ざらないようにして尿を採取します。
システムトイレの場合は犬と同じく、ペットシーツを裏返して尿を吸収させずに集めて採取することも可能です。
採尿後は、できるだけ早く病院に持参することが大切です。
クーラーボックスで保冷し、直射日光を避けて持ち運ぶことで、尿の成分が変わりにくくなり、より正確な検査が可能になります。
まとめ
尿検査は、動物の健康状態のチェックや、尿路の病気を早期に発見するために欠かせない検査です。飼い主様がご自宅で採尿する方法は、病院での採尿に比べると正確性に多少の差はありますが、手軽にできる点が大きなメリットです。
採尿の際は、今回ご紹介したポイントを参考にしていただき、より正確な検査結果が得られるようご協力をお願いいたします。
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