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犬に多い甲状腺機能低下症の症状と治療法|老化に似た症状が見られる?2024年10月16日

犬も人間と同じように、年齢を重ねると運動や感覚が少しずつ衰えてきます。そのため、歩くペースがゆっくりになったり、ぼんやりしている時間が増えたりすることがあります。

しかし、こうした症状や変化は老化の一部だと考えられがちですが、実は「甲状腺機能低下症」という病気の症状であったということも少なくありません。

この甲状腺機能低下症という病気は、ご家庭で発見するのが難しいため、定期的な健康診断で愛犬の体の状態をチェックすることがとても大切です。

今回は犬の甲状腺機能低下症について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。

■目次
1.甲状腺機能低下症とは
2.症状
3.原因
4.診断
5.治療法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ

甲状腺機能低下症とは


甲状腺機能低下症は、首の腹側にある甲状腺という器官の働きが弱くなることで起こるホルモンの病気です。

甲状腺は、甲状腺ホルモンを分泌し、体全体の代謝をコントロールする役割を持っています。

このホルモンは、エネルギーの消費、体温調節、心拍数、皮膚や被毛の健康を保つために重要です。

甲状腺ホルモンが不足すると、体内の代謝が低下し、エネルギーの消費が遅くなります。そのため、犬の活動量が減る、体重が増えやすくなる、被毛や皮膚の異常が起こるなど、さまざまな症状が現れることがあります。
こうした症状は、加齢によるものだと見過ごされがちですが、実際には甲状腺機能低下症が原因であることが多いです。

 

症状


甲状腺機能低下症では、代謝が低下することによって、以下のような症状が現れることがあります。これらの症状は徐々に進行し、老化と混同されやすいため、注意深く観察することが大切です。

背中や尻尾の毛が抜ける、フケや色素沈着が見られる
甲状腺ホルモンは皮膚や被毛の健康を保つ役割があるため、その機能が低下すると被毛が薄くなり、特に背中や尻尾に脱毛が目立つようになります。
また、皮膚が乾燥してフケが増え、皮膚が黒ずんで色素沈着が見られることもあります。

なんとなく元気がなく、だるそうに感じる
以前よりも活発さがなくなり、元気がなく、寝ていることが多くなることがあります。これは甲状腺ホルモンが不足してエネルギー代謝が低下するため、全体的にだるそうに見えるのが特徴です。

運動を嫌がるようになる
散歩に出ても歩きたがらない、走り回ることが減るなど、以前に比べて運動を避けるようになります。

食欲がないのに体重が増える
食欲が落ちると普通は体重も減りますが、甲状腺機能低下症では代謝が落ちているため、食べる量が減っても体重が増えてしまうことがあります。これは、エネルギーの消費が効率よくできず、脂肪がたまりやすくなるためです。

垂れ目で悲しそうな表情になる
顔の皮膚がたるみ、目が下がって悲しそうな表情になることがあります。この状態を「悲劇的顔貌(ひげきてきがんぼう)」と呼びます。甲状腺ホルモンの不足で皮膚や筋肉の弾力が失われることが原因です。

寒さに弱くなる
甲状腺ホルモンは体温調節にも関わっているため、ホルモンが不足すると寒さに敏感になり、暖かい場所を好むようになることがあります。

 

原因


犬の甲状腺機能低下症は、主に甲状腺そのものの異常が原因で発生します。代表的な原因には、免疫介在性甲状腺炎(自己免疫が原因で甲状腺が破壊される病気)や、特発性甲状腺萎縮(原因不明で甲状腺が縮小する状態)があります。
特に免疫介在性甲状腺炎は、犬の甲状腺機能低下症の最も一般的な原因とされています。

また、長期間にわたるステロイドの投与が甲状腺ホルモンの分泌に影響を与えることや、甲状腺に腫瘍ができて機能が低下する場合もあります。

さらに、甲状腺ホルモンの調節を行う下垂体や視床下部に腫瘍や炎症などの異常が起き、ホルモンの分泌がうまくいかない場合もあります。

遺伝的な要因も関係しているとされており、特にトイプードル、ミニチュアシュナウザー、ビーグル、ゴールデン・レトリーバー、ドーベルマンといった犬種に多く報告されています。
主に5歳以上の中高齢の犬で発症することが多いですが、まれに若い犬でも発症することがあります。

 

診断


甲状腺機能低下症の診断で特に重要なのは、ホルモン検査です。この検査では、甲状腺ホルモン(tT4、fT4)や甲状腺刺激ホルモン(TSH)の数値を調べます。tT4やfT4が低く、TSHが高い場合には、甲状腺機能低下症が疑われます。

ただし、tT4の数値が低いからといって必ずしも甲状腺機能低下症とは限らず、他の病気が原因で低下する「ユウサイロイドシック症候群」の可能性もあるため、獣医師が注意深く見ていきます。

さらに、診断の際には首の超音波検査で甲状腺が通常より小さくなっていないかを確認し、血液検査で全体的な健康状態を把握することもあります。

治療法


甲状腺機能低下症の治療では、不足している甲状腺ホルモンを補うために、ホルモン補充療法が行われます。一般的には、レボチロキシンナトリウムという成分を含むお薬が使われます。
治療を始めた後は定期的に動物病院に通い、症状の改善具合や血液中の甲状腺ホルモンの濃度をチェックしながら、投薬のスケジュールや用量を調整していきます。

投薬を始めると、元気や食欲の回復は1~2週間ほどで見られることが多いですが、皮膚の症状が改善するには数カ月かかることもあります。治療は長期的なものになることが多いので、根気よく続けることが大切です。

 

予防法やご家庭での注意点


甲状腺機能低下症は予防が難しい病気ですが、早期発見と早期治療がとても重要です。この病気の症状は老化と混同しやすく、気づきにくいことが多いので、定期的に健康診断を受けて獣医師にしっかりとチェックしてもらうことが大切です。

治療を始めると、多くの犬は元気に過ごせるようになりますが、甲状腺のお薬は生涯にわたって続ける必要があります。
途中で投薬をやめてしまうと症状が再び悪化する可能性があるため、決められた用量を守って、投薬をしっかり続けていくようにしましょう。

 

まとめ


甲状腺機能低下症は、高齢の犬によく見られるホルモンの病気です。愛犬が「なんとなく元気がない」や「食欲が落ちた」といった様子を見せると、つい年齢のせいだと思ってしまいがちですが、実は甲状腺機能低下症が原因の場合もあります。

この病気は、適切に診断して治療を始めれば、しっかりと症状をコントロールすることができます。愛犬の様子に気になる変化があれば、早めに動物病院で診察を受けましょう。

 

■甲状腺の病気はこちらで解説しています
猫の甲状腺機能亢進症について|老猫に多い内分泌の病気
愛犬の健康を守るために知りたい!|胆泥症について

 

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