愛犬が歩きたがらない時は要注意!|関節炎の原因と治療法2024年11月01日
愛犬の歩き方に違和感があったり、お散歩を嫌がるようになったりしたら、関節炎が原因かもしれません。
こうした症状は「何となく元気がないのかな?」「高齢だから仕方ないかな…」と見過ごされてしまうことも多くあります。しかし、ちょっとした変化でも見過ごさずに早めに動物病院で検査を受けることで、重症化を防ぎ、愛犬の生活の質(QOL)を守ることができます。
今回は、犬の関節炎について、その原因や症状、診断・治療法、そしてご家庭での注意点を解説します。
■目次
1.関節炎とは
2.症状
3.原因
4.診断
5.治療
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ
関節炎とは
関節炎とは、何らかの原因によって、肘や膝などの関節に炎症や変化が起こっている状態を指します。この状態が進行すると、痛みや動きの制限が生じ、愛犬の日常生活に支障をきたすことがあります。
症状
関節炎の主な症状には次のようなものがあります。
・歩くことを嫌がる
・元気や食欲が落ちる
・関節を痛がる、触られるのを嫌がる
・関節が腫れる
・足を引きずる
関節の異変は、左右両方で起こることもあれば、特定の関節だけに限って起こる場合もあります。
また、炎症が強くなったり、複数の関節に炎症が広がったりすると、全身のこわばりや発熱、ぐったりして動かない、といった様子が見られることもあります。
関節炎は進行性の病気なので、治療をせずに放置すると、症状が徐々に悪化してしまいます。
原因
犬の関節の病気は、いくつかの種類に分類されます。特に犬の場合、免疫の異常や加齢に伴う変性が主な原因として挙げられます。
<炎症性>
・感染性:主に細菌感染によるものですが、犬や猫ではまれです。
・免疫介在性(非感染性):自分の免疫機能が誤って自らの体を攻撃してしまうことが原因です。
└非びらん形成性:特発性多発性関節炎や全身性エリテマトーデスなどが該当し、特に大型犬に多く見られます。
└びらん形成性:関節リウマチなどが該当し、小型犬に多い傾向があります。
<非炎症性>
・変性性:加齢や過剰な負荷により、関節が変形することで起こります。具体的には、変形性関節症、膝蓋骨脱臼、前十字靭帯断裂などが含まれます。
・急性の関節内出血:事故や外傷によって引き起こされることがあります。
診断
歩き方に異常が見られた場合、まずは骨や関節の問題か、それとも神経の問題かを判断します。骨や関節の病気には、関節炎だけでなく骨折や脱臼が含まれ、神経の問題では椎間板ヘルニアなどが考えられます。
そのため、身体検査や血液検査に加えて、関節液の検査やX線検査などの画像診断を行い、総合的に判断します。
場合によっては、抗核抗体(ANA)検査やリウマチ因子検査などの特殊な検査も追加で行うことがあります。
治療
免疫介在性の疾患は、体の免疫システムが誤って自分自身の体を攻撃してしまうことが原因です。そのため、炎症反応を抑えるために免疫抑制療法が必要となります。
この治療は長期にわたり、ステロイドや免疫抑制剤を使用しますが、副作用が現れないように細心の注意を払いながら進めます。そして、症状が再発しないように気をつけつつ、薬の量を少しずつ減らしていくことが目指されます。
ただし、すでに損傷を受けた関節の構造は元に戻ることがないため、多くの場合、生涯にわたる治療が必要となります。
一方、変性性の疾患については、関節の変形や損傷が進んでいることが多く、手術が適応される場合がほとんどです。
予防法やご家庭での注意点
関節炎は予防が難しい病気で、一度関節が損傷してしまうと、元の状態に戻ることはありません。そのため、早期診断と早期治療が非常に重要です。
ただし、初期の段階では症状があまり目立たず、見逃してしまうこともあるため、若いころから定期的に健康診断を受け、関節の状態を確認し続けることが大切です。
ご家庭では、愛犬とのスキンシップの際に、手首や足首、肘、膝などの関節部分を優しく触れてみてください。もし痛がる様子や腫れや熱がある場合は、早めに動物病院で診察を受けることをおすすめします。
また、関節に余計な負担をかけないために、体重管理を行い、太らせないように注意しましょう。さらに、激しい運動を避け、フローリングには滑りにくいマットを敷くなど、日常生活での工夫も効果的です。
まとめ
犬の関節炎は、主に免疫介在性や加齢に伴う変性が原因で発生します。この病気において最も大切なのは、早期発見と早期治療です。もし愛犬の歩き方に異常が見られた場合は、様子を見ずに、信頼できる動物病院を早めに受診しましょう。
また、愛犬の関節の痛みを和らげ、QOL(生活の質)を保つためには、ご家庭でのケアも欠かせません。関節炎そのものは命に関わる病気ではありませんが、痛みや不快感は犬にとって大きなストレスとなります。だからこそ、日々の細やかなケアがとても大切です。
■歩き方がおかしくなる病気はこちらで解説しています
・犬のパテラ(膝蓋骨脱臼)について|小型犬に多く見られる病気
・犬と猫の椎間板ヘルニアについて|症状や手術の必要性などを解説
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