【獣医師監修】猫が食べると危険な食べ物・植物を解説|愛猫の誤飲・中毒を防ぐ!2025年12月15日
さっきまで元気だったのに、急にぐったりしている——。その原因が、実は“誤って口にしたもの”による中毒だったというケースもあります。
猫は犬に比べて中毒を起こしやすく、わずかな量でも命に関わる症状が出ることがあります。「うちの子は大丈夫」「少しなら平気」といった油断や、昔の知識に基づいた判断が、取り返しのつかない事故を招くことも少なくありません。一方で、こうした中毒の多くは正しい知識と日常の工夫で防ぐことができます。
今回は、猫が口にすると危険な食べ物や植物を危険度別に整理しながら、発症時のサインや予防のポイントを詳しくご紹介します。

■目次
1.猫の中毒の特殊性|なぜ猫は中毒を起こしやすいのか
2.【カテゴリ別】猫が口にしてはいけない食べ物
3.見落としがちな危険|植物・日用品・アロマの中毒リスク
4.中毒症状の見分け方と緊急時の対応
5.今日からできる!猫の誤飲・誤食を防ぐ7つの対策
6.まとめ
猫の中毒の特殊性|なぜ猫は中毒を起こしやすいのか
猫は、体のつくりや習性の違いから、犬よりも中毒を起こしやすい動物です。そのため「犬は大丈夫でも猫には危険」という認識をもつことがとても重要です。
中毒を起こしやすい理由として、猫の次のような特徴が関係しています。
◆肝臓の解毒機能が弱い
猫は体内で毒素を分解する働きのひとつである「グルクロン酸抱合」という仕組みを十分にもっていません。そのため、人や犬では問題にならない量でも、猫では分解しきれず中毒を起こすことがあります。少量の摂取でも重症化しやすく、症状が表れたときにはすでに進行しているケースも少なくありません。
◆グルーミングで有害物質を取り込むリスク
猫は毛づくろいをして体を清潔に保つ習性があります。その際に、洗剤やアロマオイル、植物の花粉などの毛に付着した有害物質を舐め取ってしまうことがあります。「直接食べていないのに中毒を起こす」というのは、猫ならではの特徴です。
◆体調不良を隠す傾向がある
猫は本能的に弱みを見せない動物で、具合の悪さを隠そうとします。そのため、飼い主様が気づいたときにはすでに重症化しているケースも少なくありません。
こうした理由から、猫の中毒は「気づいたときには手遅れ」ということもある病態なのです。「犬は大丈夫だったから」「少しだけなら平気」といった油断をせず、猫の特性を理解したうえで環境を整えることが大切です。
【カテゴリ別】猫が口にしてはいけない食べ物

猫が口にすると中毒を起こす食べ物は、思っている以上に多く存在します。どれも「少量なら大丈夫」とはいえず、微量でも命に関わるケースがあるため注意が必要です。
<野菜・果物類>
・ネギ類(タマネギ・ニンニク・長ネギ・ニラなど)
ネギ類には有機化合物が含まれており、赤血球を壊して嘔吐や貧血を起こします。猫は犬よりも感受性が高く、体重1kgあたり約5gの摂取で中毒症状が出るといわれています。煮汁やスープ、加工品にも有害成分が残るため「調理済みだから安心」と思わないようにしましょう。
・ブドウ・レーズン
原因物質はまだ特定されていませんが、重篤な腎不全を引き起こすおそれがあります。生のブドウだけでなく、レーズン入りのパンやお菓子にも注意が必要です。
・アボカド
「ペルシン」という物質が心臓や呼吸器の機能に影響するといわれています。特に皮・種・葉の部分は濃度が高く危険といわれていますが、果肉のみでも安全とは限らないため、与えないことが基本です。
<肉・魚類>
・生魚(特にアジやイワシなど)
一部の魚には「チアミナーゼ」という酵素が含まれ、ビタミンB1欠乏症を引き起こすおそれがあります。加熱することで酵素は分解されるため、与える場合は必ず火を通しましょう。
・生肉(牛・豚・鶏など)
寄生虫や細菌(サルモネラ、カンピロバクターなど)による感染症の危険があり、下痢・嘔吐・発熱を起こすことがあります。安全のため、肉類は必ず加熱して与えるようにしましょう。
・骨付きの肉(鶏の骨など)
調理済みでも骨が割れて鋭利になり、口腔や消化管を傷つけるおそれがあります。特に鶏の骨は裂けやすいため注意が必要です。
<お菓子・嗜好品類>
・チョコレート・ココア
カカオに含まれる「テオブロミン」が神経や心臓に作用し、嘔吐・けいれん・不整脈などを起こします。体重1kgあたり20mgで症状が出ることもあるとされ、ほんのひとかけらでも危険です。
・コーヒー・紅茶・緑茶など
カフェインは神経や心臓に作用し、チョコレート中毒と同様に落ち着きがなくなったり、嘔吐やけいれんなどの症状を引き起こすことがあります。特に乾燥茶葉やインスタントコーヒーはカフェイン濃度が高く、ごく少量でも命に関わることがあります。
見落としがちな危険|植物・日用品・アロマの中毒リスク
食べ物以外にも、身の回りのさまざまなものが猫の健康を脅かすことがあります。「舐めただけ」「触れただけ」でも体に影響を及ぼすおそれがあるため、置き場所や使用環境には十分注意が必要です。
<花・観葉植物類>
・ユリ科植物(ユリ・チューリップなど)
猫にとって最も危険な植物のひとつで、わずか数枚の葉や花びらを口に含むだけでも致死的な腎障害を引き起こします。活けた花瓶の水にも毒成分が溶け出すため注意が必要です。
・サトイモ科植物(ポトス・モンステラ・ディフェンバキアなど)
葉や茎の汁に含まれるシュウ酸カルシウムが口内を刺激し、強い痛みやよだれ、嘔吐を引き起こします。人気の観葉植物ですが、猫の行動範囲に置かないようにしましょう。
・アロエなどの多肉植物
葉に含まれる成分によって嘔吐・下痢・血尿を起こすことがあります。スキンケア製品などに含まれるアロエ成分にも注意が必要です。
・シクラメンやポインセチアなどの園芸植物
季節の飾りとして人気ですが、摂取すると嘔吐や下痢、口内炎症を起こすことがあります。特にポインセチアの白い樹液は皮膚炎を起こすこともあるため、触れるだけでも危険です。
<薬品・化学物質類>
・人用の解熱鎮痛剤(イブプロフェン・アセトアミノフェンなど)
わずかな量でも中毒を起こし、呼吸困難や黄疸、けいれんなどを引き起こすことがあります。猫は代謝能力が低いため、犬よりも危険度が高いとされています。
・洗剤・漂白剤・柔軟剤などの家庭用化学製品
舐めたり、足裏から吸収したりすることで消化器や皮膚の炎症を引き起こします。特にスプレー型は空気中に拡散しやすく、成分を吸い込むだけでも呼吸器に負担がかかります。
・化粧品・ヘアケア用品
香料や防腐剤が含まれるものは、嘔吐・下痢・震えなどを引き起こすことがあります。猫が触れる場所には置かないようにしましょう。
<アロマ・タバコ・芳香製品>
・アロマオイル・ディフューザー
猫は精油成分を代謝できず、呼吸困難・嘔吐・元気消失などの症状を引き起こすことがあります。オイルが皮膚や被毛についただけでも危険です。
・芳香剤・消臭スプレー
吸入や舐め取りにより気道炎症や消化器症状を起こすことがあります。どうしても使用する場合は換気を良くし、使用中・直後は猫を別室に移動させましょう。使用後は、床・家具などの上にスプレー跡が残らないようにご注意ください。
・タバコ・電子タバコ
ニコチンを摂取するとけいれん・昏睡・呼吸不全を起こすおそれがあります。灰皿や吸い殻も猫が近づけない場所に保管しましょう。
中毒症状の見分け方と緊急時の対応
中毒は「症状が出てからでは遅い」ケースも少なくありません。体内で毒素の吸収が進むと、治療のタイミングを逃してしまうことがあります。愛猫の命を守るためには、早めの対応が何より大切です。
<緊急時の対応>
誤飲・誤食を目撃したり、その形跡がある場合は、症状がなくてもすぐに動物病院を受診してください。猫の中毒は少量でも急速に進行することがあり、自宅での応急処置や吐かせる行為はかえって危険です。落ち着いて、できるだけ早く動物病院へご連絡ください。
<受診時に伝えていただきたいこと>
診断と治療をスムーズに行うため、受診の際は次の情報をできるだけ揃えておきましょう。
・何を、いつ、どれくらい口にしたか
・食べた・吐き出した物の一部や包装
・誤飲した物や現場の写真、現物
こうした情報があることで、原因物質の特定や治療方針の決定がより早く・正確に行えます。
<こんな症状が見られたら要注意>
摂取した物質によって症状は異なりますが、次のような変化が見られたら中毒の可能性があります。
・よだれが増えた
・嘔吐や下痢を繰り返す
・ふらつき・けいれん・震え
・呼吸が荒い・苦しそうにしている
・元気がなく反応が鈍い
誤飲の瞬間を見ていなくても、こうした様子があるときは中毒を疑うサインです。
「少し様子を見ようかな」と迷ったときこそ、早めの受診が安心につながります。「もしかして…?」と感じたら、ためらわずに動物病院へご相談ください。
今日からできる!猫の誤飲・誤食を防ぐ7つの対策
誤飲や誤食による猫の中毒は「うっかり」や「少しだけなら」がきっかけになることがほとんどです。日常の中で少し意識を変えるだけでも、事故の多くは防ぐことができます。愛猫の安全を守るために、今日からできる7つの対策を実践してみましょう。

1. 観葉植物を室内に置かない
ユリやポトス、モンステラなどの植物は、葉や花そのものだけでなく、花粉や樹液が体に付着するだけでも危険です。できるだけ室内には置かず、どうしても飾る場合は猫が立ち入れない部屋に限定しましょう。
2. ごみ箱はふた付きに
生ゴミや食べ残し、薬の包装などをあさって口にしてしまうことがあります。ふた付きタイプのごみ箱を使うと、誤食防止に効果的です。
3. 人の薬やサプリメントは猫が近寄れない場所で管理
猫にとって、人用の薬はごく少量でも命に関わることがあります。飲み薬やサプリメント、湿布や外用薬なども含め、必ず猫が近づけない場所にしまっておきましょう。
4. 洗剤・化粧品・アロマは使用場所に注意
香り成分や界面活性剤は中毒や呼吸器への刺激を起こすことがあります。猫がいる部屋では使用を避け、掃除などで洗剤を使うときもしっかり換気を行いましょう。
5. 人の食事はすぐに片づける
テーブルに置きっぱなしの食べ物を口にしてしまうケースは少なくありません。食後はすぐに片づけ、調理中も目を離さないようにしましょう。
6. 来客・引っ越し時は特に注意
人の出入りや環境の変化で、誤って物を落としたり、猫が異物を口にする事故が起こりやすくなります。普段と違う状況では、特に周囲の安全を再確認しましょう。
7. 「猫目線」で危険をチェックする習慣を
床や棚の上など、猫の行動範囲を一度見直してみましょう。「猫の目線」で部屋を確認することで、意外な危険に気づくことがあります。
ほんの少しの工夫が、愛猫の命を守る大きな一歩につながります。日常の中で「危険なものを置かない・近づけない」を意識し、安心して暮らせる環境を整えていきましょう。
まとめ
猫の中毒は、思いがけない日常の中で起こり「知らなかった」「少しだけなら」といった油断が大きな事故につながることもあります。大切なのは、日頃から危険を遠ざける環境を整え、小さな変化に気づくことです。
また、もしものときに慌てず行動するために、普段から相談できるかかりつけの動物病院を持つことも大切です。身近に専門的な視点からサポートしてくれる存在がいることで、いざという時も安心して対応できます。
リアンアニマルクリニックでは、日常のちょっとした不安や「これって大丈夫かな?」というご相談も丁寧にお伺いしています。愛猫との暮らしの中で気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
■関連する記事はこちら
・愛犬を守る!飼い主様が知っておくべき危険な食べ物
・犬・猫の食欲がない時の対応ガイド|食欲不振の見極め方と対策を獣医師が教えます
・犬や猫の嘔吐にお悩みの方へ|原因の特定と適切な検査について獣医師が解説
・犬と猫の下痢にお悩みの方へ|検査の必要性から原因、治療まで獣医師が解説
千葉県佐倉市の動物病院なら「リアンアニマルクリニック」
診療案内はこちらから
★ご予約について★
WEBまたはお電話でご予約を承っております。
▶ WEB予約はこちら
アクセス後に、
・受診歴のある方:診察券番号と電話番号の下4桁を入力
・初めての方:「当院へのご来院がはじめての方」ボタンからメール登録
をお願いいたします。
▶ お電話でのご予約:043-235-7835
予約可能時間:午前 9:00~12:00 / 午後 16:00~19:00
※水曜・祝日と日曜日の午後は休診となりますのでご注意ください。
■電車でお越し場合
ユーカリが丘駅・地区センター駅から徒歩6分
■車のお越し場合
駐車場5台完備
アクセスはこちらから







